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大和ハウスは個人住宅を「選ぶ事業」にした優良企業による資本配分の見直し

大和ハウスは個人住宅を「選ぶ事業」にした優良企業による資本配分の見直し

大和ハウス工業が、注文住宅の受注地域と価格帯を大きく見直します。2027年4月から、北海道や東北、甲信越、北陸など23道県で新築戸建て住宅の新規受注をやめ、東京や大阪などの都市部に営業機能を集約します。

また、規格型を除く注文住宅について、最低受注額を5,000万円に設定します。1億円超の住宅については、年間販売戸数を現在の約200戸から400戸に増やす方針です。

一見すると、住宅市場の縮小や地方からの撤退に対応する守りの施策に見えます。しかし、私はこれを大和ハウスの経営不振による縮小とは見ていません。むしろ、優良企業が資本と人材の配分を見直している結果だと考えています。

大和ハウスの国内戸建て住宅事業は、2026年3月期の売上高が5,255億円である一方、営業利益率は1%にとどまっています。売上規模は大きくても、投下する人員や営業拠点に見合う利益を十分に生み出しているとはいえません。

大和ハウスには、賃貸住宅、商業施設、物流施設、海外住宅など、個人向け注文住宅以外にも多くの事業があります。そのなかで、国内の個人住宅事業の優先順位が相対的に高くないとしても不思議ではありません。

住宅建設費は上昇しています。全国の注文住宅の建設費は2025年度に平均4,259万円となり、2011年度の2,860万円から5割近く上がりました。首都圏では4,761万円に達しています。資材価格や人件費が上昇するなかで、全国に営業拠点を置き、幅広い価格帯の住宅を販売するモデルは、採算を維持しにくくなっています。

そこで大和ハウスは、まず価格設定力を活用します。ブランド力のある都市部に営業人員を集中し、5,000万円以上、さらに1億円を超える高価格帯の住宅に絞り込みます。

これは単なる値上げではありません。限られた人員と経営資源を、より利益を生みやすい顧客層に配分する判断です。販売戸数を追うのではなく、1戸当たりの利益を重視する方向に転換したということです。

もちろん、高価格帯に集中すれば成功するとは限りません。住宅ローン金利の上昇や物価高によって、富裕層を含めた住宅需要が弱くなる可能性もあります。5,000万円以上の価格帯で十分な受注と利益を確保できなければ、個人住宅事業そのものをさらに縮小し、最終的には撤退を検討することになるでしょう。

その意味で、今回の最低価格設定は、事業継続の意思表示であると同時に、継続するための条件を明確にしたものです。

大和ハウスは、売上規模を維持するために不採算地域を抱え続ける会社ではありません。残す事業には、必要な利益を求める。利益を確保できない事業は、地域や顧客層を絞り、それでも難しければ撤退する。優良企業だからこそ可能な、明確な資本配分です。

今回の動きは、住宅メーカーだけの問題ではありません。人手不足とコスト上昇が続くなかで、運輸、物流、外食、介護など、これまで全国一律にサービスを提供してきた業界にも同じ問題が広がっています。

「どこでも、誰にでも、同じ商品を提供する」ことが企業の強みだった時代は終わりつつあります。これからは、どの地域で、どの顧客に、どの価格で提供すれば事業として成立するのかを見極める必要があります。

大和ハウスの判断は、個人住宅を無条件に守るのではなく、利益を生み出せる事業として再構築するものです。そして、その条件を満たせない場合には、撤退も選択肢に入れている。優良企業の経営判断として、非常に合理的な動きだと思います。

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