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メタ2.8兆円和解のくだらなさ 問題解決ではなく、リスク処理に終わった

メタ2.8兆円和解のくだらなさ 問題解決ではなく、リスク処理に終わった

米メタが、未成年者のSNS利用を巡る訴訟で、米国のほぼ全州などと和解しました。支払額は最大180億ドル、日本円で約2.8兆円に達します。

未成年者の利用時間を1日2時間に制限し、深夜の利用やプッシュ通知を停止するなどの安全対策も導入します。

しかし、これは本当に消費者保護といえるのでしょうか。

和解金の大半は、被害を受けた子どもや保護者に直接支払われません。最低121億ドル、条件次第で最大171億ドルが、47州、ワシントンD.C.、自治領などに支払われます。テキサス州にも別途、10億ドル超が支払われます。

州政府は、若者のメンタルヘルス対策や教育などに使うとしていますが、州によっては一般会計に入る可能性もあります。これは被害者救済というより、州政府が受け取る大型の民事和解金です。

一方、メタは事業モデルを維持できます。

SNSの問題は、利用時間だけではありません。利用者を長時間引き留めるアルゴリズム、無限スクロール、自動再生、過激なコンテンツを優先する設計にこそ問題があります。

ところが今回の和解は、原告が問題視していた無限スクロールの廃止には踏み込んでいません。メタは表面的な安全対策を受け入れる一方で、広告収入の源泉である基本設計を守ったのです。

SNSは有害なだけではない

もっとも、SNSを有害なものとして一括りにするのも正しくありません。SNSは本来、人と人をつなぎ、情報を共有し、コミュニティを形成するサービスです。未成年者にとっても、現実の学校や家庭とは異なる居場所になり得ます。

問題はSNSそのものではなく、何を拡散するように設計されているかです。

しょうもない有害コンテンツを大量に拡散することが、本当に広告主のメリットになっているのかも疑問です。利用時間や表示回数が増えても、広告主の商品やサービスへの理解が深まるとは限りません。むしろ、ブランド毀損や広告効果の低下を招く可能性もあります。

それでもプラットフォームは、利用者を長く滞在させ、広告を表示することを優先します。広告主も、表示回数やクリック数といった測定しやすい数字に引き寄せられ、本当に事業に貢献しているのかを見失いがちです。

さらに、グローバルの一般消費財やサービスは、世界中に広く、速く拡散させなければなりません。そのため、複雑な価値や本質よりも、誰にでも理解できる単純な刺激や感情に訴える表現が有利になります。

大きなビジネスほど、本質的な価値よりも、拡散しやすさに引っ張られる。SNSは、その傾向を加速させています。

この訴訟には、州政府、弁護士、研究者、裁判所、メタの経営陣など、膨大な能力と時間が投入されたはずです。本来なら、アルゴリズムが利用者をどう誘導しているのか、企業が何を把握していたのかを徹底的に検証すべきでした。

しかし、実際には巨額の和解金と限定的な利用制限で終わりました。州政府は財源を得て、メタは最悪の判決と事業モデルの変更を回避します。

関係者はそれぞれ成果を得ましたが、問題そのものは解決されていません。

これは司法による消費者保護というより、企業と行政によるリスク処理です。膨大な能力と労力が投入されたにもかかわらず、最後に残ったのは、州政府の財源とメタの事業継続、そして「対策を実施した」という形式だけです。

本当に、もったいない話です。

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