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固定資産の減損兆候判定で、営業CFを使ってはいけないのか

固定資産の減損兆候判定で、営業CFを使ってはいけないのか

固定資産の減損兆候を判定する際、「営業キャッシュ・フローではなく、営業利益を使わなければならない」と説明されることがあります。

しかし、これは少し正確ではありません。

企業会計基準適用指針第6号は、減損の兆候について次のように定めています。

資産又は資産グループが使用されている営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが、継続してマイナスとなっているか、又は、継続してマイナスとなる見込みである場合には、減損の兆候となる。

したがって、条文上は「損益又はキャッシュ・フロー」とされており、営業CFが明確に排除されているわけではありません。

ただし、第12項(3)では、原則と例外が整理されています。

減損の兆候の把握には「営業活動から生ずる損益」によることが適切であるが、管理会計上、「営業活動から生ずるキャッシュ・フロー」だけを用いている場合には、それが、継続してマイナスとなっているか、又は、継続してマイナスとなる見込みであるときに減損の兆候となる。

つまり、原則は「営業活動から生ずる損益」です。

一方で、管理会計上、営業CFだけを把握している企業については、営業CFを使うことが認められています。

問題は、営業損益と営業CFの両方を把握している場合です。この場合、第80項は次のように説明しています。

管理会計上「営業活動から生ずる損益」と「営業活動から生ずるキャッシュ・フロー」の両方を把握している場合には、「営業活動から生ずる損益」によって、減損の兆候が判断される。

したがって、営業損益と営業CFのうち、減損判定に有利な方を選べるわけではありません。

営業CFは、減価償却費などの非現金費用を含まないため、営業損益がマイナスでも営業CFはプラスになることがあります。営業CFだけで判定すれば、設備の収益性が低下しているにもかかわらず、減損兆候を見逃す可能性があります。

この点について、第80項は、発生基準に基づく利益の方が、単年度の財務情報から将来キャッシュ・フローを予測するうえで有用であるため、通常は営業CFではなく営業損益が適切だと説明しています。

ただし、ここでいう「営業損益」は、損益計算書の営業利益を機械的に使うという意味ではありません。

第12項(1)では、「営業活動から生ずる損益」について、次のように定めています。

  • 資産または資産グループの減価償却費

  • 本社費などの間接費

  • 営業上の取引に関連して生じた棚卸資産評価損

  • 財務活動から生ずる支払利息などを除外

  • 税金を除外

  • 大規模な経営改善計画による一時的損益を除外

つまり、減損の兆候判定で使うべきなのは、当該資産グループの収益性を適切に表す管理会計上の営業損益です。

全社の営業利益をそのまま当てはめればよいわけでもありません。減損判定の単位は、資産グループです。その資産グループに対応する収益と費用をどこまで適切に把握しているかが重要になります。

結論は明快です。

営業CFを使ってはいけないのではありません。

営業損益と営業CFの両方を把握している企業は、原則として営業活動から生ずる損益で判定します。営業CFだけを管理会計上把握している企業は、営業CFで判定することができます。

したがって、営業CFがプラスであることだけを理由に減損兆候なしと判断することはできません。減価償却費を含めた営業損益が継続してマイナスであれば、営業CFがプラスでも減損兆候に該当し得ます。

減損兆候の判定は、数字のうち都合のよいものを選ぶ作業ではありません。資産グループの収益性が本当に維持されているのかを、管理会計の実態に即して確認する作業です。

制度は、営業CFを禁止しているのではなく、営業損益を原則とし、管理会計の実態に応じて営業CFを認めています。ここを取り違えると、減損判定が単なる形式作業になってしまいます。

参照:
企業会計基準適用指針第6号「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」

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