M&Aのハウツー

M&Aの業界マップ

 今日は、“M&Aの業界マップ”というテーマです。

 

 日本においてM&A業界は、まだまだ歴史が浅く、業界マップを見たことがないと思いますので、今回のテーマとして、機能別に作成してみました。具体的には、“マッチング”・“ファインナンス”・“契約スキーム”・“デューディリジェンス・バリエーション”の4つに分けてみました。

 “マッチング”というのは、売り手と買い手を引き合わせて、その間を取り持つといったサービスです。M&Aのサービスというと、私はこの事を示している事が多いのかな?と思います。プレーヤーとしては、M&Aアドバイザーや投資銀行などがメインではないかと思います。

“ファイナンス”についてですが、M&Aを実行するにはお金(資金)が必要です。自己資金だけで、M&Aができる会社ばかりとは限りません。非常に大きい会社であっても、大型の買収をするとなると、どこからか資金を調達する必要があります。当然ですが、“投資銀行”は昔からそのような機能を果たしていますし、通常の銀行やファンドといった所が「M&A資金をどこから持ってくるか?」という事について、機能を果たしております。

その中で、大事なのは“契約・スキーム”です。M&Aはリスクの高い取引になりますので、専門の弁護士の力が必要です。また、税金についても非常に重要になります。仮に、事業(株式)を同じ金額で売買したとしても、売り手の手元に残る金額というのは、税金を払った後の金額となりますので、売り手の手取りが少しでも多いほうが、その取引(M&A)がスムーズにいく可能性が高い訳です。そのような事を合法的に、どれだけ支払うべき税金を少なくするかというのは、スキームを決めるうえで、とても重要です。
 そのため、弁護士や税理士などが、“契約・スキーム”にかかわってくる訳なのですが、FASサービス(ファイナンシャリー・アドバイザー・サービス)を提供している会社が沢山あります。このような会社でも、“契約・スキーム”についての提案を行っているとのことです。

 “デューディリジェンス・バリュエーション”に関して言うと、基本的には財務のデューディリジェンス、バリュエーションというのは、会社の価値を算定することですが、これについても財務的な要素が大きいので、会計事務所や会計事務所系のコンサルティング会社がこの業務を行っております。
デューディリジェンスとなると、財務だけではなく法務・労務・ビジネス場合によってはITや環境など多岐にわたります。そのような多岐にわたる分野については、各種専門家がこの役割を担っています。

 

次に具体的なプレーヤーを当てはめていきます。今回はα版ということで「うちの会社が入っていないではないか!」という方は、次回のβ版以降に期待して頂ければと思います。
マッチング(要するに、M&A業務の中心である売り手と買い手を引き合わせましょうという)業務に関していうと、中堅企業に関していえば、日本M&Aセンター(上場会社)・M&Aキャピタルパートナーズ(上場会社)・ストライクといったような会社が、ある会社とある会社を引き合わせて会社(事業)の売買を事業としている会社の代表です。

日本M&Aセンターが扱っているより、さらに大きな会社(案件)を扱っているというのは、いわゆる外資系銀行がメインになります。ゴールドマンサックスや日系でいえば野村證券などになります。金融機関の三菱UFJモルガンスタンレー証券、みずほファイナンシャルグループ・三井住友ファイナンシャルグループといったような、いわゆるメガバンク系についても、マッチングサービスを提供しています。
 彼らが、ある会社とある会社をマッチングし成約して報酬をとるというビジネスをしているのです。
 三菱UFJモルガンスタンレー証券を含め、名前を見ても分かるように基本的にはメガバンク(銀行)系です。元々、彼らはM&Aに関わるファイナンスをやっていました(M&Aに関わる資金の融資をしていました)。彼らもグループ会社の中で、M&Aのマッチングサービスを始めています。この図の矢印というのは、元々ファイナンスを行っていた金融機関もマッチングのサービスをどんどんやり始めているというトレンドを表しています。

 “デューディリジェンス・バリュエーション”というカテゴリーでは、いわゆる会計事務所のビックネームが並んでいます。KPMG・PwC・デトロイトトーマツといったところですが、彼らは基本的には会計事務所です。これらの企業は、かつてM&Aに関して、デューディリジェンス・バリュエーションといったサービスを提供していたのですが、彼らもM&Aのマッチングのサービスを積極的に取り組んできています。
 我々アルテパートナーズも会計事務所としてスタートしましたが、ここからM&Aのマッチングサービスにテリトリーを広げてきています。但し、このようなビックプレーヤーに対して同じ土俵で勝負をしても仕方がないですし、M&Aの需要は、大規模な会社ばかりではなく小規模な会社でも需要はあるので、我々アルテパートナーズは、小規模(スモール)なM&Aを積極的に扱っていこうと思っております。

 一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会(JMAA)に関しては、小規模案件も扱うアドバイザーをネットワーク化していこうといった取り組みを行っています。

 もう一つの“契約・スキーム”についていえば、弁護士・弁護士法人がその役割を担っています。大手で言うと西村あさひ、アンダーソン・毛利、森・濱田などといった所は、大手の弁護士法人として、大きな案件や複雑な案件のスキームあるいは契約のチェックなど、当然法務のデューディリジェンスも行っていると思いますが、このようなサービスを展開しています。
 今後は中堅・中小のM&Aが増加してくると、このような大手の弁護士法人だけではなく、中小のM&Aのスキームや契約を見ることができる税理士法人や税理士の先生の登場が期待されています。
 そのようなこともあり、契約・スキームの弁護士先生がマッチングに積極的に参入していくことは少ないのですが、ファイナンスに関してもデューディリジェンス・バリュエーションを提供するプレーヤーに関しても、もともとの業務を行いつつもマッチングサービスの方にビジネスを展開(拡大)し始めているようです。

 以上のことから、マッチングのエリアに関しては、競争が激しくなってきています。ただし、このマッチングの競争が激しくなってくるという事は、M&Aの業界の繁栄につながってくることになりますので、悪いことではありません。我々アルテパートナーズに関しては、既存のプレーヤーが十分に提供しきれていないような、エリアにも積極的にサービスを展開できるように頑張っているところです。

 今回は、M&Aの業界マップα版という事で、我々としてもたたき台として作成いたしました。これでなんとなくM&Aの業界のイメージを掴んでいただけたのかなと思っております。今後まだまだ「うちが漏れている」と考えられるプレーヤーの方々も沢山いると思いますので、β版に向けて情報収集とコンテンツ(内容)を精査し、より良いものを作り上げていきたいと思います。

以上

本誌は、M&Aを売り手、買い手、アドバイザーが三方良し、となるのが当たり前の世界の実現を目指しています。そのためには当事者が正しい情報を得て、安心して相談のできる場が必要です。その実現に向けて本誌は、日本M&Aアドバイザー協会で、以下のサービスやセミナーを提供しております。
                                                                                                                                                     
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