GMとトヨタのアメリカマーケットでのシェア争い

売れる会社は立て直せる。売れない会社は削るしかない
米国自動車市場で、ゼネラル・モーターズ(GM)とトヨタ自動車の立ち位置が変わりつつあります。
GMは販売台数を減らしながら、利益を重視する経営へ転換しました。値引きや販売奨励金で台数を追うのではなく、高収益のピックアップトラックや高級車に集中する戦略です。
これは、かつて販売台数と市場シェアを追い続け、経営破綻に至ったGMにとって、明らかな進歩です。売れない商品を値引きして販売し、低金利ローンを付けても、帳簿上の台数が増えるだけで、会社は強くなりません。
利益を重視することは正しい方向です。
一方で、GMの工場稼働率が低下している点には注意が必要です。工場稼働率の低下は、単なる生産上の問題ではなく、販売力の低下を示している可能性があります。
工場は、商品が売れれば稼働します。販売力のある会社であれば、商品開発、営業体制、広告、物流、ITなどに不足があっても、外部のコンサルタントや専門会社を使って補うことができます。売上が立ち、キャッシュが入るからです。
しかし、売れない会社は、外部の力を借りても簡単には立ち直りません。
コンサルタントを入れる。システムを導入する。組織を再編する。評価制度を変える。経営計画を作り直す。
これらは販売力の代わりにはなりません。売上が増えなければ、費用が増えるだけです。最後には、人員、拠点、事業、投資を削るしかなくなります。
企業再生には、二つの種類があります。
一つは、売れる力はあるが、経営管理や業務効率に問題がある会社です。この会社は、外部人材や仕組みを導入することで改善できます。
もう一つは、売れる力そのものを失っている会社です。この会社に必要なのは、管理改革ではありません。商品、顧客、価格、営業、販売チャネルを根本から見直すことです。それができなければ、事業を縮小するしかありません。
いわゆる「プロ経営者」にも、限界があります。
プロ経営者と呼ばれる人のなかには、財務、組織再編、コスト削減、KPI管理に強い人がいます。しかし、それは経営の一部にすぎません。会社を変えるには、最終的に商品やサービスを売る力が必要です。
異業種から経営者に就任する場合、最初から商品を売れないのは仕方ありません。業界知識も顧客との関係もないからです。
ただし、その場合でも、売れる人材を見抜き、売れる商品を見極め、販売力を構築しなければなりません。販売の現場を知らない経営者が、販売力の低下を管理の問題だと誤認すると、経営は迷走します。
M&Aでも同じです。
対象会社の商品やサービスを、買い手の販売網、顧客基盤、ブランド、営業力によって売れるのであれば、買収には大きな意味があります。対象会社単独では成長できなくても、買い手の販売力によって伸ばせるからです。
反対に、買い手にも対象会社にも販売力がなければ、買収後にできることは限られます。シナジーという言葉だけが残り、実際にはコスト削減と事業整理に終わる可能性が高いでしょう。
利益を重視することは、販売台数や売上高を軽視することではありません。
売れる力があるからこそ、利益を生み、投資を続け、人材を採用し、外部の力も活用できます。売れる会社は、多少の非効率があっても立て直せます。
売れない会社は、どれほど精緻な経営管理を導入しても、削ることしかできません。
企業の力とは、最終的には「売れる力」です。
PLを改善するために最初に見るべきなのは、コストではありません。
何が、誰に、なぜ売れているのか。そして、その販売力を今後も維持・拡大できるのか。
ここを見ずに経営改善を語っても、数字を整えるだけで、会社の力を回復させることはできません。
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