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「リフレやめよ」と言われても、日本の政治は変えられない 高齢者優遇を生む選挙システムの限界

「リフレやめよ」と言われても、日本の政治は変えられない

高齢者優遇を生む選挙システムの限界

 

ベッセント米財務長官が、日本にリフレ政策をやめるよう求めています。

日本の財政拡大と金融緩和がインフレと金利上昇を招き、日本国債の売りが米国債市場にも波及することを警戒しているようです。日本の長期金利上昇が米国の債券市場に影響するのであれば、米国が日本の財政政策に関心を持つのは当然です。

ただ、米国から財政規律を求められたからといって、日本の政策が簡単に変わるわけではありません。

日本では、有権者も政治家も「どれだけ自分たちに予算を回してくれるのか」を重視します。その中心にあるのが、人口が多く、投票率も高い高齢者向けの社会保障です。年金、医療、介護などへの支出を抑えることは、政治家にとって選挙上の大きなリスクになります。

一方で、その負担の多くは、現役世代と将来世代に回されます。しかし、将来世代はまだ選挙権を持っていないか、投票率が低い。政治家から見れば、現在の受益者に予算を配分する方が、はるかに合理的です。

これは、政治家だけの問題ではありません。有権者自身が、自分に有利な政策を掲げる政治家を選んでいるからです。民主主義の結果として、現在の有権者に給付を集中し、将来の負担を拡大する政策が選ばれています。

そのため、日本の財政問題は「正しい政策が分からない」という問題ではありません。正しいと分かっていても、選挙制度の中では実行できない問題です。

米国が日本にリフレ政策の転換を求めても、米国は日本の選挙で責任を負いません。給付を削減した結果、政権を失うのは日本の政治家です。市場は財政規律を求めますが、選挙は給付の維持や拡大を求める。この矛盾を解消しない限り、政策転換は進みません。

もちろん、米国の主張にも自国の都合があります。日本国債の売りが米国債の売りにつながり、米国の長期金利を押し上げるからです。米国が日本の財政を心配しているというより、自国の債券市場を守るために日本へ圧力をかけている面が大きいでしょう。

しかし、日本側も「米国に言われたから反発する」だけでは済みません。財源のない減税や歳出拡大を続ければ、円と国債が同時に売られる可能性があります。日銀が利上げをしても、政府が財政で景気を刺激し続ければ、インフレと金利上昇は止まりません。

必要なのは、減税するのか、給付を維持するのか、将来世代の負担をどこまで許容するのかを、正面から国民に問うことです。そして、どの条件になれば政策を見直すのかという出口も示さなければなりません。

ただし、それを今の選挙システムだけで実現するのは難しいでしょう。高齢者を中心とする現在の有権者がマジョリティである以上、政治家はそこに予算を配分します。

結局、「リフレをやめよ」という米国からの注文は、日本の財政問題を解決しません。むしろ明らかにしているのは、日本の政治が市場の要求と有権者の要求の間で動けなくなっているという事実です。

日本の財政を変えるには、政策論だけでなく、誰が受益し、誰が負担するのかを見えるようにする必要があります。現在の有権者に配る政治を続ける限り、負担は将来世代に先送りされます。

問題は、答えがないことではありません。答えが分かっていても、選挙で選ばれないことです。

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