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監査における不正対応基準(案)についての金融庁栗田課長の解説について

2012年12月14日に、日本公認会計士協会にて開催された「不正に対応した監査の基準の検討に向けて(第2弾)~企業会計審議会:「監査における不正リスク対応基準(案)(以下、「本基準)」について、にて以下に記載の本基準について、金融庁の栗田課長から解説があったため、その内容をまとめてご報告します。
 
全体印象:
無理な監査人への負担増は強いるつもりはない。(これは前回のコメントだが)あくまでも海外向けに金融庁が粉飾決算対策にしっかり動いていることをPRする目的が大きい。

実際には公開草案の前半10ページに内容について、金融庁栗田課長から説明があった。
説明のあった順番にポイントを以下に記載する。

本基準の位置づけ:
本基準は、JSOX監査、企業のコーポレート・ガバナンスの改善も含めて、不正回避を目的とするものであり、監査役等との連携を図っていく必要のあるものである。

取引先企業の監査人との連携:
監査部会での審議の議論となった「循環取引」監査時における「取引先企業の監査人との連携」については、解決すべき論点が多いことから、今回の公開草案には含めず、先送りすることになった。

既存の会計監査との関係:
本基準は、あくまでも重要な虚偽の表示の原因となる不正について扱い、重要な虚偽の表示とは関係がない不正は対象としていない。要するに過去の会計監査の目的を変えるものでも、不正摘発自体を意図するものではない。

基準の対象:
本基準の対象は、基本は金融商品取引法で会計監査が要求される企業の監査に適用される。しかし、負債200億円未満、資本金5億円未満、売上10億円未満の公認会計士法上の大会社に該当しない企業は公開草案においては、本基準の対象からはずす予定である。

不正リスクへの対応について:
本基準では、不正に関し、職業的懐疑心を強調していて、実際には以下の3つのポイントでそれを求めている。

  1. 監査人は監査の全過程を通じて、職業的懐疑心を保持しなければならない。
  2. 監査人は職業的懐疑心を発揮して、不正リスクを評価、監査手続を実施、不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況を看過しないようにしなければならない。
  3. 監査人は職業的懐疑心を高め、不正による重要な虚偽の表示に該当するかどうかを判断し、当該疑義に対応する監査手続を実施しなければならない。

職業的懐疑心の考え方:
なお、本基準における職業的懐疑心の考え方は、これまでの監査基準で採用している、経営者が誠実であるとも不誠実であるとも想定はならないという中立的な観点を変更するものではない。

不正リスクに対応した監査の実施:
新聞報道では、財務諸表全体に関連する不正リスクが識別された場合には、抜き打ちの監査手続や往査先や監査実施時期の変更などの企業が想定しない要素を監査計画に組み込むことが必要になる、という点がフィーチャーされたが、あくまでも「財務諸表全体に関連する不正リスクが識別された場合」に限定されるものであり、アサーションレベルでの不正リスクが識別された場合には該当しない。

付録2について:
あくまでも例示であり、元々ちゃんとみておくべきものである。したがって、これをチェックリストとして取り扱うものを意図したものではない。

監査役等との連携:
監査人は不正による重要な虚偽の表示があると判断した場合や経営者の関与が疑われる不正を発見した場合には、監査役等と適切に連携の必要がある。

不正リスクに対応した監査事務所の品質管理:
まったく新しい品質管理体制を求めるものではなく、不正リスクに対応する観点から特に留意すべき事項を述べたものであり、不足している項目があれば、それを現在の品質管理体制に加えて付与すればよい。

不正による重要な虚偽の表示があると判断された場合の審査:
この場合、特に慎重な対応が必要となり、例示として大規模事務所の場合には本部審査、小規模事務所の場合は社員全員による社員会における審査をあげたが、これも一例であり、必ずこの体制をとることを求めているわけではない。

監査事務所間の引継:
オリンパス事件での基準の不備をフォローするため、厳格化した。後任事務所から要請のあった監査調書の閲覧、不正リスクへの対応状況、企業との重要な意見の相違等の監査上の重要な事項について質問するように方針と手続を定めなければならないことになった。

審査の範囲:
労働組合監査や幼稚園監査など小規模監査については、大企業並の厳格な審査は不要という声が多いので、これについては改訂を今後予定している。

当基準の範囲:
当面、年度決算にのみ適用し、四半期、半期については今後の推移を見て決める。初年度には四半期と半期は対象外となる。

当基準の適用時期:
平成26年3月決算にかかる監査から適用、ただし品質管理については平成25年10月1日から適用する。

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