ソニーは金融顧客が見放さなければしばらくは会社経営に大きな問題はない
ソニーの業績がかなり苦しいという報道が決算発表のあとされている。
◯ソニー、電機事業黒字化「厳しい」
http://www.nikkei.com/markets/kigyo/gyoseki.aspx?g=DGXNASDC0100K_01112012000000
***以下、引用***
ソニーが1日発表した2012年4~9月期の連結決算は、最終損益が401億円の赤字(前年同期は424億円の赤字)だった。リストラ効果で営業利益は前年同期から4割増えたが、税負担の増加が響いた。13年3月期通期については最終損益が200億円の黒字(前期は4566億円の赤字)との予想は据え置いた。ただ、主力の電機事業について黒字化は厳しいとの見方を示した。
***引用、ここまで***
PLをまず確認しておきたい。今回のソニーの2012年第2四半期の決算短信は以下のリンク先にある。
◯ソニー決算短信
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/financial/fr/12q2_sony.pdf
まず 簡単にBSをみておくと、総資産13兆円、内訳を見ると有形固定資産は9千億円、在庫が8千億円に対し、借入は長短あわせて1.2兆円程度である。その他は金融ビジネス関係で顧客から預かっている資産を有価証券等の投資に回しているようである。総資産13兆円は巨大であるが、設備投資のその大半を投入しているわけではないので、金融顧客がパニックになって取付騒動でも起きない限り、資金ショートは短期的におこったりする状況ではないだろう。
PLも報道によると営業利益は回復しているということなので、中身を確認しておく。
上記のP.20を見ると、売上は半期で3.1兆円、営業利益が360億円。前期より回復しているが、営業利益は1%程度。これは厳しい水準だ。
こちらもここで検討したパナソニックのように税引前利益を上回る税金費用を計上しており、注記の記載が上記資料には見当たらないので、推測ではあるが、将来の収益計画が思わしくなく、繰延税金資産を満額あげられなくなっている可能性がある。
ではどこに問題があるのか?以下にセグメント別の営業利益を引用する。
上記を見て分かるのは安定して稼いでいるのは金融部門。今期に限ってはデバイス部門も稼いでいる。この部門には半導体事業とコンサルティング事業などを含んでいる。
ソニーの代名詞であったウォークマン、テレビ等のホームエンターテイメントやケータイなどのモバイルは大赤字で、これらの利益はアップルや韓国、台湾メーカーに持っていかれている。もし、今のソニーに金融ビジネスがなければ、シャープのような企業存続の危機に陥っていた可能性がある。IBMがそうしたようにハードからプロフェッショナルサービスへの転換ができなければ金融ビジネスで稼いだ、預っている資産を食いつぶしていかなければならない。あまりの惨状が続けば金融顧客も資産の引き上げなどを考えるはずだ。そうならないうちに、何の会社にならなければならないのか、明確な方向性を付け、実践してほしい。ソニーが大好きな日本人はたくさんいるのだから。
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