2010年7月9日 ASB第43号 「公正価値測定及びその開示に関する会計基準(案)」及び 公開草案第38号 「公正価値測定及びその開示に関する会計基準の適用指針(案)」の公表
総論がまとまっているのは→https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/exposure_draft/kouseikachi/
適用時期は平成24年4月1日開始事業年度の見込みで、遡及修正を行わない見込み。
会計基準がIFRS化するなかで、避けて通れない「公正価値」について定義。特に観察不能なものについては以前から議論がある。多くの企業関係者から、こんな見積もりの会計は会計ではない、という不満の声をたくさんお聞きしています。
少なくとも上場企業に関し、私はこの意見に反対です。IFRSは投資家への財務報告を考慮して考えられた会計です。よって将来の見込みなしに金融商品やその他のプロジェクトを進めること自体を想定していません。よって、ウチの株なんてのは、付き合いで大昔にかったし、借入もメインバンクからなんとなく借りているから、公正価値っていわれてもね、なんて言い訳は通じないのです。
立場を変えてみれば分かります。
現在保有している資産負債に、一定の仮定を付して現在価値を提示できない企業に金を出す気がありますか?日本の新興市場に資金が集まらないのは、こういった情報提供が不十分ということがあると思うのです。そういう意味ではIFRSの導入は上場しつつも資金調達が市場からできない企業にとってはビッグチャンスでもあると思うのです。
こうなると大事なのは、非上場会社です。
IFRSがあくまでも投資家向けの情報であるとすると、市場で広く資金調達をしない企業には適用すべきではありません。これについては、かなり研究がされていて、ASBでも非上場会社の会計基準に関する懇談会の議事録当が提供されています→https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/establishment/
今後、上場企業および会社法上の大会社についてはIFRS、それ以外にわけて会計基準を策定していくようですが、https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/establishment/20100830/press_release/20100830.pdfによると、必ずしも海外ではこういった分類ではなく、上場の有無によって区分をしているケースが多いようです。
そうなってくると、微妙なのは非上場(上場企業のグループ企業含む)かつ会社法上の大会社セグメント。どうもここが置き去りになりそうです。私の意見としては規模ではなく、上場⇔非上場の区分をするのが重要だと思います。理由は、IFRSはあくまでも投資家への情報提供であり、会社法は債権者、既存株主向けのものだからです。規模の大小での判断はあくまでもそこまで余裕のない企業に対する救済措置であり、言葉を選ばすにいえばお目こぼしです。上場している以上、世界中どこからでも資金調達できる体制を構築すべきだと思います。
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