経営者のための実践ファイナンス

設備投資の意思決定方法とプロセスとは?

 続いて、設備投資の意思決定方法ということで、いろいろな手法を説明してきましたけれども、具体的にどうやって意思決定をしていくのかというプロセスを体験していただきたいと思っています。

 設備投資編と、この後に事業投資M&Aに関するようなところのお話をしますが、基本は一緒だと思ってください。このA案、B案というのは、先ほどの例を同じです。1年目に100投資をして、5年間でどれくらいのキャッシュ・フローを上げていくのかという事例です。まず、回収期間法で考えた場合、先ほども同じ数字でご説明をしましたけれども、A案を4年目で回収できます。B案は3年目で回収できますということなので、回収期間で考えた場合B案のほうが有利です。

 DCF法の計算。これは、ターミナルバリューをさらっと入れてはいますけれども、ターミナルバリューを採用するという前提でいうと、A案は、1058になります。B案の数は657になります。今度はA案のほうが高いのです。

 内部利益率法で計算します。これも、先ほど出した例と同じなのですけれども、結果A案が12パーセントなのです。B案は19パーセント。これは、B案のほうがいいんです。

 その結果をまとめてみると、投資回収期間法でいうと、A案は4年目で回収。B案は3年目で回収。B案のほうが優位です。DCF法で考えると、A案は1058.Bは657になっていますので、A案が有利です。内部利益率法でいうと、A案12パーセント、B案19パーセントですから、結論としてB案が有利なのです。

 この場合に、どっちを(####@00:01:48)するかということを考えないといけないというわけなのです。それは、ケース・バイ・ケースなのです。まさに、これは経営ですので、少しでも早く投下資金を回収していかないといけないフェーズであれば、やはり、1年でも回収期間が早いB案を採用すべきなのでしょう。

 ただ、長い目で見てA案のほうが現在価値が高くなっているわけですから、長期間投資というベースで考えると、1年ぐらい投資した資金の回収がおくれたって、トータルでこれだけもうかるA案のほうがいいではないかという判定もできるわけなんです。

 内部利益率法はB案のほうが圧倒的にポイントが高いので、こっちのほうが効率的投資なのですけれども、長期間で見るとA案のほうがいいという形になりますので、そのときの会社の投資の目標です。長期的に利益極大化を目指すというのがある程度短期で、コンスタントに資金を回収していくのかというようなことを総合的に考えていかないといけないわけなのです。

 後は、この結果だけを見て、経営者が判断するのはちょっと危ないです。特に、DCF法が危なくて、先ほど申し上げたようにA案のほうが有利ですが、1058のうち、ほとんどがターミナルバリューですので、本当に、このターミナルバリューを使って、この投資案件を評価するのが正しいのか正しくないのかという判定をしないと、この表だけでは、意思決定は間違える可能性があります。ただ、多くの経営者の方って、こういう表で意思決定しているのではないかなというのが、すごくあるのです。前提は後ろのほうにいっぱい、よく分からない数字が羅列してあるので、よく分からないと。サマリしてこいといったら、この表が出てきました。A案のほうが長い目で見て回収できるからA案と意思決定しました。ただ、この1058の数字は、1058はターミナルバリューなのです。本当にこの1058を回収できるのか、現在価値として評価していいのかというのは、きょうお話をしたファイナンスの考え方を用いて、もう1回あらためて精査すべきだと思うのです。そういう指摘を担当とか、コンサル会社にできるかどうかというのが経営者としてのファイナンス能力を発揮する、そういう場面だと思うのです。これだけで、ぜひ判定をしないようにしていただきたいと思います。

 一体、どういうキャッシュ・フローでこの計算をしてきたのか、割引率は一体何パーセントなのか、どういう考えで、その割引率を設定したのかという基本的な説明をぜひしていただきたいと思うのです。

 それに対して、きちんと答えられないような担当とか、コンサル会社だったら、恐らく換えたほうがいいと思います。そうしないと、皆さんの意識決定は間違えてしまいます。

 基本的にファイナンスに関わるようなかたがたというのは、皆真面目な方なので、真面目にやっているとは思いますけれども、完全に経営者目線でやっているかどうかというと、ちょっと怪しいです。割引率を投資のハードルレートだというふうに本当の意味で考えられる方は、経営者しかいません。最低限、これだけ稼がないと話にならないと。それ以外の方というのは、基本的には他人事ですから、後は、エクセルの、パソコンの上で、数字いじっているだけという側面も否定できない部分がありますから、ここはぜひ、皆さんの力で、こういったサマリ表だけで意思決定をするということは、ぜひ避けていただきたいと思います。

M&A売却希望

M&A買収希望