M&Aによる起業

「日本の平均給与」は今後はどうなるのか?

 しかし、今度のこれは給与です。個人でビジネスをしている人の場合、厳密に言うと給与ではありません。それは自分の稼ぎなので、所得といいますから、ここには入っていません。ですから、これは勤めている人が会社からもらっている給与です。これは見事なまでに右肩下がりです。
 1999年の平均値が450万円程度ですが、今は400万ほどです。平均値は恐らくこのまま減り続けるでしょう。なぜこうなっているのでしょうか。しかも、なぜ、このトレンドはこの先も続くのでしょうか。復活しないのですか。復活すると思う人はおられますか。復活してほしいと思う人はおられますか。反応がすごくいいですね。しかし、恐らく復活しないです。
 なぜならば、それなりの組織を持った法人が高止まりで何とかつぶれずに残っているのは、簡単に言えばリストラしているからです。また、リストラだけではなく、経営の改善をしているからです。着ているもの、手元に持っているものなど、皆さんお持ちのものがどこで作られているか、見てみてください。それらの中で日本製のものというのはかなり減っています。中国製のもの、東南アジア製のもの、洋服であればトルコ製のものなど、あるいは東欧で作っているものもかなり多くなっています。例えば、日本製のユニクロなどはないのではないでしょうか。もしかしたらレア品で誰かが持っているかもしれませんが、日本の会社にもかかわらず基本的には日本製のものはありません。これが最も分かりやすい例です。世界の最適地で作られてしまっています。ユニクロの洋服を作ることができるのは日本人だけではありません。大半は中国人が作っています。中国人でも都心部の人ではありません。もっと給料が安くても働ける層を集めてきて、彼らはそこで製造しています。僕たちはそのようにして安く製造したものを毎日買って生活をしているわけです。ですから、給料はそういうところで勝負をしなければならなくなっています。例えば洋服工場のラインで働く仕事をしようと思えば、目の前に見えている1000人や2000人の従業員だけではなく、世界中の工場のラインの人たちと勝負していかなければなりません。彼らがもらっている給与は自分たちの5分の1、あるいは10分の1というケースが多いはずです。全てを海外に移すことができるわけではないので、日本国内にも仕事は残ると思います。彼らとそのような価格で勝負ができるか、それとも、本当に今ここに居て私とその他20~30人の人たちしかできない仕事をしていかなければ給与を維持することはできません。そのような傾向が続いています。

 それに加えて、上場会社というのはコストを厳しくカットしていっていますので、長期的には少しずつ平均の給与は下がっていってしまうと見ているわけです。
 しかし、実際に、見事に右肩下がりになってきています。人件費は比較的操作することが容易です。もちろん、人件費をカットすれば騒ぎが起こりますが、騒ぎが起きたとしても、「ここで給料をカットしなければ会社はつぶれる」と言われれば、そう簡単に騒ぎ続けることはできません。ですから、どの会社でも少しずつ待遇が悪くなってきているのが現状です。
 ですから、個人事業者でい続けても確かにつらいですし、法人に居続けたほうが安全牌ではありますが、待遇が平均像では上がっていきません。だからこそ選択肢を持っておかなければなりません。どちらに居れば絶対に安全だ、どちらに居れば必ずもうかる、などという明快な答えはないので選択肢を持っておかなければなりません。

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