M&Aによる起業

日本のビジネストレンドと起業する会社数

 話を元に戻します。事業者数というのは、それらの個人事業の人たちも含まれた数字です。ですから、個人でビジネスをしている人、法人でビジネスをしている人、また、支店や事業所、営業所など、この数の推移を追っていますが、それらは右肩下がりです。ですから、その大小、個人法人を問わず、やはり日本のビジネスは右肩下がりです。地方に行けばそれがよく分かります。東京に居ても何となく分かりますが、地方に行くと、駅前の雑居ビルのような場所にはかなりの空きスペースができています。以前そこには大手の会社の支店や営業所が入っていました。昔、景気のいいときは、1都市、あるいは1県に1支店ありましたが、景気が悪くなったときにそれが減りました。例えば、九州で熊本、福岡、長崎全てに一つずつ支店や営業所がある必要はない、三つまとめて福岡一つでやればいいというようなリストラが起こりました。そうしますと熊本の駅前にあった支店は空き室になるわけです。また、長崎の駅前にあった支店も空き室になります。このように全体の事業者数は減少してしまっています。これが全体の数字です。起業を考えるときに全体の流れをまず押さえておいていただきたいので、これを頭に入れておいてください。

 内訳を見てみましょう。先ほど法人と個人が混ざっていると申し上げましたが、法人と個人を混ぜてみましたが、少し見にくいですね。これはスケールが2500から始まっているので、ほとんどゼロになったわけではありません。トレンドを見るためにこのようなスケールの取り方をしたのですが、やはり個人でビジネスをしておられる方は減少しています。イメージとして言えば、20年ほど前の1991年に、その辺の魚屋や八百屋、肉屋など、個人でビジネスをしておられる方は今よりもたくさんいらっしゃったと思います。この10年間で1000件ほど減少しています。1000件ではありません、相当減少しています。一方で、法人はそれほど減少していません。この1991年の数字が少し怪しいのですが、あまり減少していません。

 このように、個人は減少し、法人は何とか高止まりしているとなると、やはり小さくビジネスをするというのは難しいのではないかと何となく思います。僕もそう思います。やはり規模の小さいビジネスはかなり駆逐されてしまっていると思います。例えば、イオンのイオンモールなどは田舎にとても大きなモールを作ってしまいます。そこには何もかもが入っています。生鮮食品、ヤマダ電機、ユニクロなどがそのモールに入っており、取りあえずそこに行けば何でも買えます。地方で細々とやっていた商店街などはそのためにほとんどがクローズしてしまっています。個人事業者が減少し、法人事業所が何とか高止まりしている背景にはこういうことの影響があるわけです。正直に言えば、やはり大きいほうが有利な部分があると思います。大きいことがいいことだとは思いませんが、過去からの蓄積がある会社というのは、1年、2年赤字になっても資金はなくなりません。1年、2年ではつぶれません。一方個人の場合、1、2年完全に赤字になると相当厳しいと思います。この数字を見ても、やはり大きいほうがいいという部分はあると思います。

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