2016年M&Aの振り返りと2017年の展望
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資料は、記載してありますとおり、MARRさん(http://marr.jp/)から引用させていただいております。レコフデータさま、いつも本当にありがとうございます。
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こんにちは。
今日は「2016年M&Aの振り返りと2017年の展望」ということでお話をさせていただきたいと思います。
2016年の振り返りです。M&Aの件数は年々増えてきています。リーマンショック後の2010年あたりからずっと増えてきていますが、2016年がピークではなく、2,600件程度でした。ピークは2006年です。ここにはまだ至っていないのが実状で、M&Aは相当盛り上がってきていますが、まだ件数ベースでいうとまだ過去最高には至っていない。ただ回復傾向にあるということは間違いありません。
内訳ですが、件数でいうと大半がIN-INと言われている国内の会社が国内の会社を買収するというパターンです。少しずつIN-OUTと呼ばれている国内の会社が国外の会社を買うという件数が少しずつ増えてきています。一方で、OUT-INという海外の会社が日本の会社を買うというケースはかなり減ってきているというのが現状です。
次に、成約金額ベースになります。先ほど、件数ベースで言うと、その大半が国内の会社が国内の会社を買収するというIN-INでしたが、2016年のグラフを見ると、水色が大半で、これはIN-OUTです。国内の会社が海外の会社を買収するパターンですね。ですから、件数ベースでいうと、まだ国内の会社が国内の会社を買うという国内で起こっているM&Aが大半ですが、金額ベースでいうと、国内の会社が海外の会社を買うというケースが圧倒的になってきています。
これをまとめていうと、件数はそれほどでありませんが、国内の会社が海外の会社を買う時に、1件あたりの金額がものすごいことになっているということです。非常に高額なM&Aというのは、国内の会社が海外の会社を買っているというケースが多いということです。したがって、皆さんは、M&Aの件数がすごく増えてきたとか、大型の買収が最近増えてきたというふうにニュース報道などから感じられるようになっているのではないでしょうか。
数字のからくりというほどではありませんが、皆さんが最近M&Aが過去最高を更新しているのではないか、それぐらい盛り上がっているのではないかと感じていたのに、件数ベースでみるとちょっと結果が違っていたということの背景がここにあるわけです。
まとめてみると、2016年は正確には件数が2,652件、金額は16兆円で、前年比2.6%増となっています。業界でいうと、飲料や鉄鋼で再編が進展しているということになります。数字ベースで見ていくと、IN-IN(国内の会社が国内の会社を買収する)のケースは件数が約1,800件です。で、金額は約3兆6千億円。一方でIN-OUT(国内の会社が海外の会社を買収する)のケースは約600件。国内の会社同士のM&Aの3分の1程度の件数になっています。しかし金額は10兆円を超えています。
3分の1の件数なのに、金額は約3倍。簡単に言うと、国内の会社同士のM&Aよりも、国内の会社が国外の会社を買う場合は大体1件あたり10倍ぐらいの金額が付いているわけです。OUT-IN(国外の会社が国内の会社を買収する)のケースは200件。一番マイナーですね。とは言っても、総額で2兆5千億円ぐらいの売買がありました。トータルでは、約2,600件のM&Aが起きているわけですが、これはあくまでも公表ベースで、公表されていないM&Aの件数も相当あります。一般的に、約1万件程度は公表されずに国内でM&Aが成立していると言われています。これは大変申し訳ありませんが、統計がありませんのであくまでも推測、見込み値ベースだというふうに考えて頂ければと思います。
次に、具体的に2016年のM&Aの金額ベースでのトップ10を案件別に言うと、1位は金額が1桁違います。これは兆単位ですが、3兆3千億円でソフトバンクがアーム・ホールディングスを買っている案件が圧倒的に高かった。3兆3千億円ということです。
2位は、8,900億でアサヒビールの関係のアサヒグループがSABミラーの関係のビールの事業会社を買っています。これ、1位も2位もソフトバンク、あるいはアサヒという国内の会社が海外の会社を買っているケースです。で、8千億、9千億円ぐらいの案件が出てきますので、こういうものがIN-OUTという国内の会社が国外の会社を買う場合の単価を引き上げています。これだけの大型買収という形になるとニュースでも相当取り上げられますので、皆さんの記憶にもあるものだと思います。3位は7千7百億円でテンセントがスーパーセルというソフトバンクが持っていたゲーム会社を買収しています。4位は何かと話題になりますけれども、東芝メディカルシステムズという東芝の傘下にあった医療機器の関係の会社をキャノンが買収しています。約6千6百億円です。5位は約6千3百億円。損保ジャパンがまたこれもエンデュラス・スペシャルティ・ホールディングスという海外の会社を買収しています。
以下、
6位 コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)がカルソニックカンセイを買収
7位 鴻海(ホンハイ)精密工業グループがシャープを買収
8位 コマツアメリカがジョイ・グローバルを買収
9位 Qualcomm Global Trading Pte. LtdがRF360・ホールディングス・シンガポールを買収
10位 SMBCレールサービス(三井住友銀行)がアメリカン・レールカー・リーシングを買収
このように、国内の会社が国外の会社を買う時には相当な金額に上っていることが多いということです。トップ10の中にIN-INという案件は、4位のキャノンと東芝メディカルシステムズの案件だけです。あとはIN-OUT(国内の会社が国外の会社を買う場合)とOUT-IN(国外の会社が国内の会社を買う場合)になっています。OUT-INのケースは先ほど説明した3位のテンセントという中国の会社が、スーパーセルというソフトバンクのグループ会社を買ったというケース、あとは6位のファンドのKKRがカルソニックカンセイを買収したというのもOUT-INのケースとなります。これを見て頂いてもお分かりになるように、国内会社同士で巨額の買収というのは少なく、少しずつ影響力がなくなってきているということになります。
まとめますと、件数ベースでは過去最高を更新しているわけではないものの、一件あたりの金額が非常に高額なM&Aのケースが増えてきていますので、皆さんの印象に強く残っているということなのだと思います。
皆さんの中にも、知り合いが自分の会社を売ったとか買ったとか、そういうお話を少しずつ耳にされることが増えてきているのではないかなと思います。実際に、これは増えてきているのですが、統計には入ってきません。M&はできれば公表したくないことが多いと思うのです。自分の会社を売ったとか、どこかの会社を買ったとかというのは公表したくない場合が多いのです。
一方では、公表しなければいけない会社もあります。ファンドというのは、どこにいくら出資した、あるいは売ったということを当然投資家に向けて公表する必要がありますし、事業会社で上場している場合ですと、買収したとか買った会社を売却したという情報は公表しなければいけないというルールがあります。そのルールに則って、公表しなければいけないところがこのM&Aを公表しているのであって、非上場会社同士、あるいは個人含めてやるようなM&Aですと、そもそも公表する必要がないので、こういったところには全く上がってきません。ということは、先ほどの2,600件の成約件数の中にも入ってこないということは知っておいて頂きたいです。
2017年に関して言うと、ここ数年間M&Aの件数はどんどん増えてきていますので、件数は今後も間違いなく増えていくと思います。そして、非公表の非上場会社同士のM&A、あるいは個人の方が絡んだM&Aの件数もこれからますます増えていくはずです。
理由の一つは事業承継の問題もありまして、日本の経営者の平均年齢が60歳をとうに超えてきています。彼らが実際にビジネスを辞める時、引退する時に、親族内承継にできればよいのですが、親族内承継は実際にかなり減ってきています。代替案としては、外部の方に買って頂くというM&Aが選択肢の有力な一つとなってくるはずですので、この件数は間違いなく増えてくるでしょう。
今後、どんな業界で今後、特に今年M&Aが活性化されると想定されているのかというと、衣料品あるいは食料品、小売業、電気機器、サービス業、情報通信業、銀行、化学など、が想定されています。医療品のビジネスというのは、規模の経済が非常に重要で、研究開発費が相当かかるものですから、どうしても大手企業同士、あるいは大手と中堅の合従連衡というのが間違いなく起こってくるだろうと想定されているわけです。食料品、小売業、電気機器というのもその系統だと思います。これは業界の再編成という大きな枠組みでのお話ではありますが、極端に言うと個人事業に近いような形のビジネスであったとしても、やはり1店舗単体だけでビジネスを続けていくというのはなかなか難しいですので、例えば1店舗とあと複数店舗持っている会社の統合とか、3店舗持っている会社がもう1〜2店舗増やしていきたいので、同じような業種の会社を買収するとか、こういうケースはかなり目立ってきています。今後もこういったM&Aのケースは増えていくと思いますので、皆さんにとってみても、自分の会社が売れるとか自分の会社が買収するとかというケースは今後も間違いなく増えていきます。そのために、会社を売って欲しいという方が出てきたら、いつでもすぐに検討できて、うちの会社はこういう状況で、引き継ぎはこうやっていけばいいというような、いつでも売れる体制を作っておいて頂きたいなと思います。
2017年も間違いなくM&Aというのは、件数ベースでは増えていくでしょうし、大型の案件も出てくるでしょう。そして一方で、小型の案件というと語弊があるかもしれませんけれども、身近なところでのM&Aというのも増えてくるのではないか、と考えています。
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