上場のデメリットとIR情報
上場するとデメリットも結構あるわけです。デメリットもあるので、考える先に上場廃止も出てきた、ということなのかなということです。上場すると資金調達のチャンスは増えますし、特に新規上場したときには間違いなく会社にいくばくかのお金が入ってきます。創業メンバーで株を持っておられる方は、普通その一部を売り出しますので、彼らのポケットにもお金が入ります。それはとても大きいことなのですが、その代償としていろいろな情報を出さねばなりません。その情報を出すのにも、結構お金が掛かります。IRというのは結構お金が掛かるのです。そこに部署を置かねばなりませんから。IR担当部署を置かねばなりません。その連絡先は常に開示していますから、株主なのか新聞社なのか、株を買いたいという人なのか分かりませんが、いつ電話がかかってくるか分かりません。それに対して適当な応えをするわけにはいきませんから、準備しておかねばなりません。いろいろな資料を出さねばなりません。ぜひ、上場会社の投資家情報というところを見てください。とても多くの情報が出ています。例えば、最近はM&Aがかなり多いですが、M&Aに関する新聞のニュースでは、ここが何パーセントぐらいで買うということぐらいしか書いてありません。IR情報を見ると、どんなスキームで、つまり誰が関与していくら出してというようなことが、かなり細かく書いてあります。恐らくですが、新聞では紙面が足りない。そのようなことを全部解説しようとしたら紙面1ページ2ページ使ってしまいますので。あるいは、あのIR情報を見てもよく分からない。結構難しいことが書いてありますので、新聞記者は理解しきれず、新聞ではざっくりした情報しか出していないということもあると思います。
話を元に戻しますと、IR情報というのは、かなり細かく出ていますので、気になる会社があれば、ぜひそこをしっかり見ていただきたいということと、上場を目指すという観点で言いますと、これを作らなくてはならないのかという発想を持っていただきたいです。皆さんがこれを作るということはないと思いますが、これを作れる人材を社内に何人か置いておかなければならないと考えると、結構なコスト負担になるということです。
IPOというのはイニシャルです。Iというのはイニシャルなのです。Initial Public Offeringなので、IPOというのは初めて上場すること、新規上場のことをいっています。IPOは新規上場なので、確実にお金が入ってきます。しかし、上場廃止するまでは、ずっとお金を掛けて、いろいろな情報を出していかなければなりません。新規上場以外で資金調達できている会社がどれくらいあるのか。ほとんどありません。上場したときはいいのです。これは100パーセントお金が入ってきます。100パーセントではありませんね。三井住友グループは、ニューヨークに上場したときは資金調達していません。これは例外ですね。上場すると、ほぼ100パーセントお金が入ってきます。毎年、毎年、会社にとって不利な情報を出し、お金を掛けてIR情報を出し続けていって、でも次のチャンスで資金調達をしているという会社は本当に少ないです。それができている会社はもちろんあります。これがうまくできていないので、上場するメリットとデメリットで、何となくデメリットのほうが大きいという感覚値を今の経営者の方が持っていると思います。あくまでもそれは感覚値です。
ですから、上場すると、結構いろいろなことが変わります。形式も多くなってきます。形式的にやらなければならないことも多くなってきます。当然取締役会は毎回、毎回開催しなければなりません。文書として当然全部残していかなければなりません。そういったものはコストも掛かります。ある意味、スピード感も少し落ちてきます。上場する前であれば、社長とキーパーソン何人かで決めてすぐスタートできたものが、なかなかできなくなってしまいます。スピード感がなくなってくるという部分はあると思います。
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