豊田自動織機のTOBと株主資本コスト

豊田自動織機のTOBについては、かなり複雑なスキームが組まれているということです。
豊田自動織機株式の買付を行うSPCには、トヨタが7,000億円、トヨタ不動産が1,800億円、豊田章男会長が10億円を出資し、さらに2.8兆円を融資によって調達するスキームだそうです。
TOB完了後には、豊田自動織機が保有するトヨタ関連株式を売却し、借入金を返済。その後、4,000億円のキャッシュが残るという流れです。
注目すべき点は、最大の出資者であるトヨタが、議決権のない種類株を保有する点です。この株式の配当利回りは8.6%に設定されており、議決権がない分、プレミアムを上乗せした設計です。これは、株主資本コストを明示的に示した好例と言えるでしょう。
一般的に、株主資本コストは負債コストより高くなります。負債コスト(金利など)は明示されやすい一方で、株主資本コストには配当だけでなく、株価上昇に対する期待値なども含まれるため、定量的に開示されることは少ないのが実情です。
今回の豊田自動織機のケースは、非上場化によって株価上昇の期待値が小さくなる点も含め、8.6%という株主資本コストを明示したことは、他社にとっても非常に参考になるはずです。
The TOB (tender offer) for Toyota Industries Corporation involves a rather complex scheme.
The SPC (special purpose company) that will acquire Toyota Industries shares will be funded by Toyota with 700 billion yen, Toyota Real Estate with 180 billion yen, and Chairman Akio Toyoda with 1 billion yen. In addition, the SPC will raise 2.8 trillion yen through loans.
After the completion of the TOB, Toyota Industries will sell its holdings of Toyota-related shares to repay the debt, and approximately 400 billion yen in cash will remain.
One notable point is that Toyota, the largest investor, will hold non-voting shares. These shares will carry a dividend yield of 8.6%, which reflects a premium due to the lack of voting rights. This structure is a clear and instructive example of how to disclose the cost of equity capital.
In general, the cost of equity is higher than the cost of debt. While debt costs, such as interest rates, are typically disclosed, the cost of equity is rarely quantified since it includes not only dividends but also expected gains from share price appreciation.
In this case, since Toyota Industries will be taken private, the relevance of stock price appreciation will be significantly reduced. Nonetheless, clearly stating an 8.6% cost of equity is likely to serve as a valuable benchmark for other companies.
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