童夢の事業売却にみるM&Aの目的~やりたいことをやるためだ!!
自分のやりたいことをやるために会社を売る。 これが本質だろう。私の解説はいらないと思う。リリースの原文を以下でぜひご覧いただきたい。
○「株式会社 童夢カーボン・マジックの売却について」
http://www.dome.co.jp/news/news/dt_122.html
***以下、引用***
株式会社 童夢(本社:滋賀県米原市、社長:鮒子田寛、以下「童夢」)では、2013年4月に子会社の株式会社 童夢カーボン・マジック(本社:滋賀県米原市、社長:奥明栄、以下「DCM」)及びDOME COMPOSITES (THAILAND) CO., LTD.(株式会社童夢コンポジット・タイランド、所在地:タイ王国チョンブリ県、社長:矢谷悟志、以下「DCT」)を東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)に売却することになりましたのでお知らせします。
東レ株式会社 プレスリリース
「株式会社童夢カーボンマジックの買収について」
http://www.toray.co.jp/news/carbon/nr130318.html
事務的に要旨を説明すると以上のようになりますが、詳しいことは買収側の東レの発表を参照していただくとして、ここでは、皆様が最も疑問に思っていらっしゃるであろう「なぜ売却したのだ?」という疑問に、童夢グループのオーナーとしての立場から、私(林みのる)がお答えしておきたいと思います。
とは言っても、理由がかなり常識はずれなのでご理解いただけるかどうか疑問ですが、まあ、理解を得ることが重要という訳でもありませんので事実だけを述べておきます。
まず前提条件として、私自身は恋い焦がれるようにレーシングカー造りに没頭してきましたから全く悔いは無いものの、この国で、世間から必要ともされないし評価もされない、仕事はほとんど海外に流れる、いつまで経っても持ち出しが続く、その上、金だけはやたら必要な、とても事業とも言い難いようなレーシングカー・コンストラクターを生業とする会社を存続させる必要も意義も意味も無いと思っていますし、たぶん、こんな馬鹿げた会社を引き継ぎたいと思うような奇特な人も居ないと思いますから、「童夢の将来」については全くビジョンを持っていません。
だから私は、70の声を聞く3年間で完全にリタイアしようと思っていますし、その後の童夢についてもノーアイデアですが、では、なぜ?あと3年間かと言うと、私には、どうしてもやりたい事がもう一つだけ残っているからです。
もともと童夢カーボン・マジックはルマン等のレース資金を捻出することを目的に設立した会社ですが、そのためには企業としての成長/発展が不可欠ですから、放蕩三昧の童夢には内包せず子会社として切り離した形で健全な育成を心がけてきました。
おかげで事業としては期待以上に成長してきたものの、実際のところ、年間に調達できるレース資金は、童夢から捻出する資金と合わせても2~3年に一回、ルマンに参加するのが精いっぱいと言うレベルでした。
つまり、このままでは私は切りつめた予算でもう一回ルマンに挑戦して引退となる訳ですが、もうルマンは17回も挑戦してきましたし、この程度の予算でもう一回チャレンジしたところで今までと同じことの繰り返しにしか過ぎませんから、もう充分と言う感じですし、私が最後にどうしてもやっておきたいことはルマンではありません。
(NEWS RELEASE「ロードゴーイング スポーツカーの開発について」を参照してください)
しかし、その為には、もう少し大きな予算が必要なのですが、日本国じゃあるまいし、あと3年で引退する私が莫大な借金を残す訳にもいかないので、今までの資金源であった童夢カーボン・マジックを売却し、その売却益を投入して私の最後のお遊びに使い果たそうと考えた訳です。
加えて童夢では、過去において待遇改善などに関しての労使交渉など一度もありませんでしたが、それは私が、本気で「給料まで払ってレーシングカーを造らせてやっている」と思い込んでいるからであり、基本、趣味の同好会ですから「あー、面白かった!」で済みますが、そんな童夢とは違って、童夢カーボン・マジックは技術的にも経営的にも立派な企業に育ってくれましたし優れた人材も育っていますから洋々たる将来も期待できます。
私も、そんな鳶が鷹を生んだようなまともな童夢カーボン・マジックを3年で放り出すのはやや無責任であり、もったいないとも思っていましたので、ここだけは良い形で将来に繋ぐ手立てを考えていたところ、東レさんとの話が浮上してきたので、童夢カーボン・マジックの未来を託すことにした次第です。
これからも、童夢と新会社となる童夢カーボン・マジックは、従来どおりの協力関係を維持しながら技術的な相乗効果を高めていきたいと考えていますし、3年後にリタイアするのは私だけで、それは童夢の終焉とはイコールではありませんが、そのあたりは流れに任せたいと思っています。
いずれにしても、私はこの3年間に思いっきり自由な車造りを楽しんで、「あー、楽しい人生だった」と満たされた気持ちでリタイアする予定ですのであしからず。
童夢グループ オーナー 林みのる
***引用、ここまで***
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