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「不正に対応した監査の基準に向けて」金融庁栗田課長も参加のシンポジウムで話を聞いてきました

このブログでも何度か取り上げ、会計士から異常に評判の悪い不正に対応した監査の基準の考え方(案)について、日本公認会計士協会とシンポジウムという形で、金融庁の栗田課長をお招きしてプレゼンとパネルディスカッションが開催され、参加してきました。

色々論点がありましたが、重要な3つをここで皆さんにもお知らせしたいと思います。

1)金融庁はきちんとこの案を出した理由を文書等で明確にすべき
2)監査人がマニュアル監査になれてしまい、書面審査で自分たちのリスクが回避できると思い込んでいる
3)監査人の連携については、協力する監査人の不法行為責任を解除する施策をとらないと実効性がない

まず、1)についてです。栗田課長によると不正に対応した監査基準(案)については、以下のポイントが明確にされました。しかし、これらの重要な事項は書面には落とされていないため、多くの監査人に不安をあたえているのは事実です。したがって、金融庁はこういった点を明文化する必要があります。

  • オリンパスや大王製紙の問題で特に海外からの信頼を大きく失った日本の証券市場がきちんとした対策を打ったことをきちんとプレゼンテーションするためにこの案を作成した。
  • 既存の監査基準にすでに含まれていることも多く、重複感はたしかにあるが、上記の目的実行のため、この案を新たに出した。
  • 対象は、金商法適用会社が想定される。そのためすべての被監査会社を想定している既存の監査基準とは独立して作りたい。
  • 既存の監査実務から大きく追加業務が増加することは想定していない。この基準でいう不正とは、企業不正そのものではなく、重要な虚偽記載の原因となるものを指している。
  • コーポレートガバナンスについては、監査人の決定権限を監査役に与えるなどの会社法変更案を現在、改正手続中である。
  • 不正への外部協力者について課徴金を課す金商法改正案を作成、すでに国会を通した。
  • M&A開示の充実を実現した。
次に2)です。監査人の立場からは、この案の採用により、責任範囲を明確化してほしい。具体的な記載がないと何をしていいかわからない。基準案では不正の端緒が例示されているが、もっと縮小してほしい、などの案が出されました。

私も監査人の立場もありますので、理解はできますが、彼等の前提にはもしかすると、基準に準拠した手続さえ踏んでおけばすべて免責される、と思い込んでいる部分があると思います。この10年間で監査法人の品質管理体制は厳しくなりました。そして、問題が指摘されることも少なくなりました。その中で基準に明示されていることさえやっていればOK、それ以外のことをこれ以上、言われてもそう簡単にはできない、現場のことをもっとよく考えてくれ、という趣旨の意見が多いように感じました。私は今の監査は中身が薄くなっていると感じています。もっと自分で考える監査をどうやって実践できるのか、という観点を監査人ももっていかなければならないと思います。

最後に3)については、実行可能性に?が監査人サイドからはつけられましたが、これについては金融庁も理解をしていて、しかし、それで何も変えないで、いいのか?という提案がありました。これはたしかにおっしゃるとおりだと思います。

一方で、ただやらされるだけでは監査人もたまりません。守秘義務の解除の問題、また監査人の交代の時も同様、と弥永先生から指摘がありましたが、ふわっとした、なんとなく怪しいですよ、といったような不正を発見するうえでは非常に重要かつ微妙な情報を出した監査人は将来、不法行為責任を負う可能性が現在の民法上の問題があり、これをクリアするには免責事項を明確化し、法令として設定をしないといけないということで、この点については栗田課長からも反論はなかったため、法的な対応を明確にすべきだと思います。

今回は全国で同時中継され、5,300人が参加されたそうです。こういった議論が公開され、活発化するのは大いに結構ですが、ファクトベースの議論については、栗田課長に圧倒的にアドバンテージがあり、なかなか議論が噛み合わずに時間を要している部分については改善の余地あり、と思います。 

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