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2021年度 中小企業M&A税制改正。訳わからなかったけど、少しわかったことを説明します。

どうやら準備金の積立で損金算入ができるらしいとか、記事、文章を読んでもさっぱりわかりませんでした。

経営財務の記事で、経産省の資料を引用しており、それを見てようやく理解できました。以下の資料のP.27に該当ページがあります。

○令和3年度(2021年度)経済産業関係 税制改正について 令和2年12月 経済産業省
https://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2021/zeisei_k/pdf/zeiseikaisei.pdf?fbclid=IwAR0YZ1mbLru_DXZyveSEczqzRI7zEJ6dxhCPtxDrnZ5bErQXvAyod5irukU

以下がそのページです。要点は3つありますが、はじめの2つはM&Aに直接関係はありません。

①はM&A後の設備投資で、例えばシステム導入などがあれば、それを即時償却、10%を税額控除するものです。利益が腐るほどある企業であれば意味はあるでしょうが、私の感覚としては、M&Aも投資、さらに設備投資をして、さらに利益が余るというケースがそうあるとは思えません。これが強いインセンティブになるとすれば、利益が出まくっている企業が対象になりますが、利益出て税金払いたくないから、買収する、という程度の考えで、その後の経営がうまくいくとはちょっと考えづらいです。

②も、M&A後に給与を上げた場合に、増加額の25%を税額控除ということです。買収後、いきなり賃金あげて、それでも利益が残る企業がどれほどあるのかわかりませんが、該当する企業があれば意味はあります。

したがって意味がないとは言いませんが、①、②のメリットを享受できる企業がどの程度あるのか、やや疑問です。

本丸は③でしょう。これは簿外債務に備えるために、投資額の70%までを準備金として積立、それを損金とする方法です。ただし、株式譲渡を想定しているということです。

たとえば10億円で買収をした場合、7億円を準備金とし損金に算入できます。相当利益が余っていれば悪いことではありません。簿外債務がその後発覚しなければ、5年間据え置きで、その後5年間に渡って1.4億円づつ準備金を取り崩し、益金とします。買収後6年後から10年後にこんな利益が毎年出たらどうすんの?と正直思います。そのときには生命保険でも買うことになるのでしょうか。

結局これは税制優遇というよりは課税の繰延、先送りにすぎないのです。多くの節税商品はほぼ先送りしているだけなのですが、この税制も同様です。それだけ簿外債務の危険があるなら、わざわざ株式譲渡を使わずに事業譲渡か会社分割のスキームをつかえばすむことがほとんです。

もちろんまったく意味がないわけではなく、恩恵を受けることができる企業もあるとは思いますが、これがあるから、M&Aがすごく進むという内容には残念ながら見えません。

動画での解説も追加しました。

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