M&Aのハウツー

標準化されている会社と標準化されていない会社

今日は、“標準化されている会社と標準化されていない会社”というテーマです。

なぜこのテーマを取り上げるかというと、標準化している会社は“売却しやすい”からです。反対に、標準化されていない会社は“売却しにくい”ので、そのような視点でご覧頂きたいと思います。

標準化の特徴

・会社の業務が名文化されている

逆に言えば、社長の頭の中にしか経営ノウハウがない訳でない。つまりは、目に見える形で整理されているということが大事なのです。

・社長の顔だけで営業をしていない

反対に言えば、社長の顔だけで営業している会社というのは、社長がいなくなった場合には売上が立たなくなってしまう訳です。そのため、買い手にとっては“買いにくい”会社となります。

・設計は社長以外のメンバーでもできる

例えば、設計は社長しかできないとか営業は社長しかできないなどでもそうなのですが、社長の頭の中にしかない物が多ければ多いほど、標準化されていないといえますし、結果として買おう(買収しよう)と考えていた会社(買い手候補)が、買えなくなってしまうのです。
社長が素晴らしいのは良く分かりますが、M&Aというのは基本的に社長がいなくなる(いなくなってもおかしくない状況になる)ものですから、「社長がいなくなってしまったら、この会社の価値って無くなってしまうじゃないですか」といったことになり、そういった会社の売却は、非常に難しくなるわけです。

反対に買う側の会社からすると、社長に全てのバリューがあるのであれば、社長をスカウトしてしまえばそれで終わり(会社の買収をしなくても済む)訳です。
したがって、とても大変なことではありますが“社長に依存しない”形に会社をする(分業をする)といった方向に、少しでも持っていってもらうことが“会社を売り易くする”ためには大事なのです。

・部門別の業績が把握されている

部門別の損益管理をしていない会社は多々あると思いますが、これはしておかないとダメです。もちろん事業譲渡で一部門を譲渡するという場合には、当然で部門の損益が分からなければ話になりませんが、1つの会社を売るといった場合でも、買い手としては「どの部門が儲かっていて、どの部門が儲かっていないのか」を知らないと、買った(買収した)後にどのように会社を運営していくのか(事業計画を立てるのか)が分からなくなります。ですので、第三者に会社を売ろう(売却)とするときには、部門別の損益管理をしっかりとしておく必要があります。
これが標準化されている会社の特徴です。

・明確な組織図がある

会社の中に、組織はあるが何となくしか決まっていない、社長の気分で組織がコロコロ変わってしまって、現時点での目に見える形の組織図が無い。このような場合は、非常にM&Aがしにくいです。お互いに誰がどの権利を持っていて、どういう仕事をやっているのかが目に見える形で残っていなければ買い手は初めて見る会社ですので(売り手の社長は昔から自社の経営はご存知だと思いますが)急に第三者が来て「この会社を評価しよう」となった場合、あるいは「この組織を変えよう」「維持しよう」となった場合に、紙に残っていないと非常にやりにくいのです。
言われてみれば当たり前のことなのですが、このことが出来てない会社が多い訳です。

そういう会社に問題があるのかというと、そういう訳ではありません。ただし、会社を誰かに買ってもらおうとすると、大きな問題になります。

要は、買い物(会社)の査定ができない訳です。買手は“どれぐらいの価値があるのか?”
ということを査定できなければ、意思決定はできないのです。ですので、標準化をするというのを、会社を売れる確率を上げるためには必要なことです。

・特定の分野においては、社長より優秀な人材がいる

次はとても難しい事なのですが、普通の中小企業(どこの組織でもそうかもしれませんが)で社長よりデキる人がいたら、その人が社長になっているはずです。ですから、普通ならそのような人は居ないはずです。しかし、例えば営業・製造・総務などと限定された領域においては、“その領域だけは社長よりデキる”という人がいても良い訳です。
大企業であれば、いくらでもそのような人材はいると思います。例えば社長よりできるTOP営業マンはいると思いますし、営業出身の社長より経理ができる経理マンはいくらでいるはずです。
しかし、会社のサイズが小さくなってくると、意外と難しくなります。そのため領域が狭くても良いので、ある特定の分野については社長よりデキる社員がいるという事は、結果として分業化にもなりますし、そのような人を部長にして組織を作りやすくなってきます。このことは、標準化された組織を作るときの参考になりますで、覚えておいて頂きたいと思います。

標準化とM&A

まとめてみますと、“標準化されている会社”というのは、価値が判断しやすいのです。
標準化されており、目に見える形で組織とかルールがある訳なので、買収後に誰が何をしていけば良いのかということが買い手としてはイメージしやすくなる訳です。したがって、買いやすい(検討しやすい)のです。
反対に“標準化されていない会社”というのは、実体が見えていない訳です。売り手の話を聞いていると、すごく良い会社のように伝わるが、それに対して「どれだけの価値があるものなのか?」と第三者として客観的に評価がしにくくなってしまう訳です。
結果として、買い手は買収後に「誰が何をするのか?」という事がイメージできない。これが買い手にとっては致命的となり「良い会社なのは分かるが、社長の力の領域がどれくらいあって、社長がいなくなった後でも、問題もなく動く領域がどれくらいあるのか」という事がハッキリしなければ、買い手としては「社長がいなくなってしまったら、どうなるのか?」となり不安のまま検討(交渉)が終わってしまうのです。この点が非常に重要です。
そのような訳で、社長がいなくなったときに会社が回らなくなる会社が“標準化されていない会社”で、事業承継案件に限らず会社を売買した後に「社長、今後も社長を続けてください」といった話ももちろんあります。しかし、事業承継の場合は、そもそも社長を退任したいが、後継者がいないケースがほとんどですから、M&Aという方法をとる訳ですので、その社長を続けてもらうという状態を5年も10年も続けてもらうという事は、通常あり得ません。
一方、事業承継案件ではなく、「まだまだ社長ができるのであれば社長をやってください」という案件であっても、3年や5年も経てば事業が変わる可能性もある訳です。例えば社長が他のビジネスをしたくなるといった事もあるでしょうし、体調を崩されるといったこともあると思います。他には、最初は買った会社(親会社)と社長が経営に対する考え方や意見などが、最初は良かったが段々と合わなくなってきたといった場合もありますので、M&Aをしたら対象会社の社長が居なくなる可能性が常にある訳です。
彼らが居なくなっても、買い手(買った方)が、誰がどのようにいつすれば良いのかという事がイメージできる会社が買いやすい会社であり、言い換えてみれば標準化された会社ということで、売り易い・買い易い。標準化されていない会社は売りにくい・買いにくいという事がいえると思います。

本誌は、M&Aを売り手、買い手、アドバイザーが三方良し、となるのが当たり前の世界の実現を目指しています。そのためには当事者が正しい情報を得て、安心して相談のできる場が必要です。その実現に向けて本誌は、日本M&Aアドバイザー協会で、以下のサービスやセミナーを提供しております。
                                                                                                                                                                                                  
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