M&Aのハウツー

無理な要求をする売り手

 今回は、“無理な要求をする売り手”という内容でお話したいと思います。
M&Aをしている中で、買い手に取って無理な要求をされる売り手の方というのが多いので、そのことについてまとめました。

自分の事しか考えない
当然のことながら、売り手の方は自分の会社を高く買って頂きたい訳です。これは当然のことですが、例えば“税務上の会社の価値の算出方法”というものが有ります。これは相続税を払う際に、“会社価値をいくらにするのか?”という計算方法です。
しかしながら、この“税務上の会社の価値の算出方法”というのは、M&Aの際には全く参考にならないと思って頂いて結構です。
なぜならば、税法で決まっているのは相続をする時に“公平に相続税を負担させる”ためにルールが決まっているだけの話であって、相続税の評価額が1億円だからといってその会社の評価額が1億円だとは限りません。
相続税の評価をしたら、自分の会社(事業)は少し高めに見えるので「この金額で買ってくれ」と言っても、相手(買い手)は知ったことではないのです。

投資額が売却希望価格
次に“投資額が売却希望価格”という事があります。要するに「今まで10億円投資したので10億円で買ってほしい」という事です。これも買い手にしてみれば知ったことでないです。買い手にとってみれば、今までいくら投資したかというのは全く関係なくて、“将来いくら稼げるか?”ということが重要なのです。
当然、将来“いくら稼げる”という事の基(ベース)には、“いくら投資した”ということは重要ですが(多く稼げる可能性が高くなるかもしれませんが)、「今まで10億円投資したから、10億円以下では売りません」という条件だと、なかなか売却は難しいです。
売り手は、売りたくなければ自分達でドンドン稼げば良いわけです。
このような事を言われる売り手の方々は、儲かっていない会社(事業)であることが多いのです。儲かっていないので借金が沢山ある。今まで投資した分を回収できなければ、借金が返せない。売り手の皆さんに取って見ると、とてもシリアスな問題なのは良く分かりますが、買い手の方にとってみれば、このような事は全く関係ないのです。そのような意味で一旦買い手の立場に立って頂けると良いではないかと思います。

前受金の使い込み、役務だけを継いで欲しがる
これは、前受金のビジネスで良くある事なのですが、前受金ビジネスと言えば英会話スクールやエステがその代表例です。前受金ビジネスとは例えば、「1年分の会費を最初にまとめてもらいます。その代りに今後来られた際に、頂いたお金の分のサービスを行います」というものです。
 この前受金ビジネスというのは、ビジネスをされる方にとって“とても良い仕組み”なのです。最初にお金を頂いてしまうので、資金繰りの心配もありません。たしかに、良い仕組みですが、ありがちな事で店舗をドンドン増やしてしまい“前受でもらったお金を使ってしまいました”という事がおきます。
 このお金を“使っちゃいました”の状況で「会社を引き取ってくれ」と言うと、引き取った方(買い手)は、お金が会社に残っていないのにお客さんが来たらサービスを提供しなければならないのです。これではなかなか厳しい。これを一緒に引き継いでくれというのでは売却は厳しいです。
では「誰が悪かったのですか?」と言ったら、お金を使い込んだ方(売り手)が悪い訳ですので、それを何にも関係の無い買い手の方に負担して頂くというのは、無理な話となります。この件についても、売り手の皆さんの都合から考えれば分かる話ではありますが、もし自分が自分の会社を買う立場になったらどうでしょうか?
“お客さんが来られたら、タダでサービスを提供しなければならない”当然、人件費も経費もかかってくる訳ですよね。そんな会社を買い手は引き取れないですよね?
といった事を考えてもらえると良い、と思います。

 しかし、一方でこのような“無理なご相談”に対して、我々のようなM&Aのサービスを提供している会社(アドバイザー会社)はどのような対応をするかというと3つあります。

上から目線業者
1つ目は、上から目線業者です。知ったことではないので、売り手に“お引取り頂く”或いは“相手にしない”。このような業者は非常に沢山有ります。

顧客目線業者
次は、顧客目線業者です。我々もこのような“無理なご相談の案件”のお話を頂くと、悩みますし考えます。ですが、一番大切なことはお客様に“市場の評価を知っていただく”事なのです。例えば先ほどの例ですが「10億投資したから、10億円で買ってほしい」ですが、我々が「どう考えても10億円で買ってくれる先は無い」と申し上げても、売り手様は納得頂けない場合は、一旦、具体的にお客さん(買い手候補)にあたります。「せいぜい1億か2億なら買って良い」とか極端な話ですが「タダ良いなら引き取ってあげても良い」といった買い手の評価を具体的に売り手(お客さん)にお伝えいたします。
その事によって、業者がいい加減な事を言っているのではなく、“実際のマーケットの評価はこうなんだ”という事を理解して頂き、“条件の変更”をして頂くのか、或いは“売却自体を断念”して頂くのか、といった誘導をするのが顧客目線業者です。
我々はこのような業者になっていきたいと思っております。

ダメ元業者
これもお客さんにとって非常に危ないのですが、「多分売れないだろうけど、仕事(案件)が無いのでとりあえず、受けよう」という業者です。皆さんにとってみると、受けてはくれるが“具体的な買い手候補(お客さん)がつかない”、“売却に結びつかない”、場合によってはダラダラ悩んでいる内に業績がもっと悪化して最悪のケースになってしまうといったケースも有ります。

皆さんが“買い手の立場を考えていただく”ことと、“信頼できる業者を選んで頂く”というが必要になるかなと思います。
今回のことは“売りたい”という方に知っておいて頂きたいですし、“買いたい”という方にも「売る方はこのような気持ちで会社の売却を考えているのか」と知っておいて頂ければと思います。

本誌は、M&Aを売り手、買い手、アドバイザーが三方良し、となるのが当たり前の世界の実現を目指しています。そのためには当事者が正しい情報を得て、安心して相談のできる場が必要です。その実現に向けて本誌は、日本M&Aアドバイザー協会で、以下のサービスやセミナーを提供しております。
                                                                                                                                                                                                  
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