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M&Aの件数の傾向と上場の手続き

 M&Aについて少し触れましたが、M&Aの件数は大きく伸びているのかというと、これも減っています。最高は2800件ぐらいですが、今は2000件に届かないぐらいの件数になっています。M&Aに関して言いますと、緑の部分は左側にIN-INと凡例がありますが、国内の会社が国内の会社を買う場合です。これが大幅に減ってきています。このクリーム色の部分はIN-OUTといって国内の会社が海外の会社を買っている場合です。これは件数ベースなのですが、IN-OUTというのは金額が大きいです。日本の会社が海外の会社を買う場合は、金額がとても大きいです。ですから、金額ベースで見ると、ここが大きくなってきます。金額が大きくて著名な会社がやるものですから、報道的には新聞やニュースでこの辺を大きく取り上げるわけです。ですから、大型のM&Aがとても増えているというイメージは皆さんお持ちかと思いますが、それはこの辺のことなのです。

 ここのボリュームはどんどん増えています。1件は他と同じように1件と数えられるのですが、金額やボリュームがとても大きいものがあるので、ここが増えてきています。このM&Aの統計というのは、左下に出どころが書いてありますが、レコフデータというところが出しています。結論から言いますと、これは情報が開示されているデータなのです。要するに、「うちの会社はこの会社を買収しました」ということをリリースしているところのサマリーなのです。リリースしているというのは、先ほど言いましたように、上場会社は重要なことで、上場会社はM&Aについてもリリースしなければなりません。上場会社が売った、あるいは上場会社が買ったというM&Aに関しては、この中に入っています。

 それからファンドですね。ファンドも多くの場合リリースします。ファンドが買いました、ファンドが売却しましたというのも、この中に入っています。逆に言いますと、そこに入っていないものは件数として入っていません。例えば、非上場会社同士のM&Aや、ファンドが関わっていないようなM&Aはこの中に件数として入っていません。トレンドとしては、そこの件数は増えてきています。ただ、統計がありませんので、そこが一体何件ぐらいなのかというのは、正直分からないのですが、一般的に言われているのは、1万件ぐらいはここに出てこないM&Aがあるはずだと関係者と話すと言います。残念ながら統計がありませんので、何とも言えません。ご参考までというところです。

 上場するためのポイントということで、とても面倒くさいところです。上場申請書類の一覧というのがありまして、これは東証のサイトを見ると出ています。これくらい出さなければならないのです。とても面倒くさいです。上場準備をされたことのある方はお分かりになると思いますが、証券会社がいちいちチェックをしていて、ああでもないこうでもないと言ってくるわけです。審査をするわけですから当たり前なのですが、厳しい突っ込みがあって、それに対して当然開示していかなければなりません。この準備をするのに2年間ぐらいかかります。これは会計監査も必要ですし、証券会社がOKを出すことも必要です。これがとても大変です。ここには年間1億円以上確実にコストが掛かります。証券会社に審査を委託すると、証券会社はまずそのコンサルタント料、審査料を取ります。これが高いです。

 とにかく、これだけ資料を出さなければならないので、そのひな型を証券会社は持っています。参考のひな型のようなものです。こういうふうに書いたらどうですか、というようなものです。それを提供してくれるのですが、ただではありません。少なくとも500万円ぐらいします。最近はもっと高いと思います。そういうところにもお金が掛かってきますので、とても大変です。それから、普通の会社は人に見られることに慣れていません。こういうものを作るときに、担当者や社長は分かっていても、人に分かるように資料を作らなければなりません。それが面倒くさいところです。社長に聞けば、専務に聞けば、あるいは営業本部長に聞けば分かることはたくさんありますが、それを第三者に、その会社のビジネスにとっては素人の証券会社の担当者に理解できるようにまとめなくてはなりません。それが非常に面倒くさいのです。

 そういう意味では、見えないコストも掛かります。社長にインタビューしなければなりません。専務にインタビューしなければなりません。しかもそれをまとめなければなりません。間違っているといけませんから、それのチェックをまた役員に頼まなくてはなりません。これは、実はとても時間がかかります。上場審査の準備をしたからといって、役員にボーナスは払わないと思いますので、キャッシュアウトはないかもしれませんが、みんな大変な思いをするわけです。それをまとめる人を当然採用しなければなりませんし、恐らくその人の残業代を払わないというわけにはいかないでしょう。ゼロから作ろうと思ったら、よほどの経験者がいない限り、証券会社のコンサルタントに頼まなければならないとか、よそのコンサルタントに頼まなければならないという場面もあると思います。どうしてもお金が掛かってしまいます。今、大まかに流しましたが、例えば上場検索資料とかで検索していただければ、この東証のページが出てくると思いますので、ご参考に見ていただきたいと思います。

 本当の申請書類自体は、キングファイル2冊か3冊ぐらいなのですが、ここにもありますが定款や取締役会の議事録、経営会議の議事録、内部監査の報告書というようなものを全部出さなくてはなりませんので、それも含めると、大体この机にこれくらいになります。キングファイル10冊以上ぐらいの資料を準備しないといけないということになります。結構大変です。ただ、その過程でいろいろと見えてくるところというのもあります。会社の管理の不備なところが見えてくるというような、副次的なものもあります。たくさんあって、結構大変です。

 多くのところは会計が絡んでいるところですので、監査法人とやり取りをしなければならない部分があります。上場申請の二の部というのは監査法人は関係ありませんが、会社のリスクや会社の業務フォロー、会社の中の決済の仕組み、職務分掌、職務権限などがきっちりできているかというところが問われます。

本誌は、M&Aを売り手、買い手、アドバイザーが三方良し、となるのが当たり前の世界の実現を目指しています。そのためには当事者が正しい情報を得て、安心して相談のできる場が必要です。その実現に向けて本誌は、日本M&Aアドバイザー協会で、以下のサービスやセミナーを提供しております。
                                                                                                                                                     
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