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サイバーは格差を埋めるために使うのが「正しい」

サイバーを隠れ蓑にして、私腹を肥やそうとしている連中が多いのが現状です。ライブドアなんてその典型例といってよいでしょう。しかし、サイバーというのは実は貧富の差を埋めるために使うのが正しい、と大前研一さんはいいます。


彼がインドの企業を例に引いて具体的な説明をしているコラムがありましたのでご紹介させていただきます。


○サイバーは格差を埋めるために使うのが「正しい」
http://nikkeibp.jp/sj2005/column/a/23/03.html
~~~~以下、抜粋~~~~~~~~
前回のコラムでも触れたBPO(Business Process Outsourcing)でいうと、インドには非常に尊敬すべき活動をしている企業がある。デカン高原はアンドラプラディシュ州、その州都ハイデラバードにあるサティヤムという企業だ。業務内容は主に米国企業のシステム開発や施設管理(FM)、業務系のBPO(受託)などを請け負っていて、ネットワークを通じて納品している。この企業が素晴らしいのは、そうやって取ってきた仕事を自社内だけでこなすのではなく、州内の3000もの農村に振り分けている点だ。

 アンドラプラディシュ州は貧しい農村が多いところで、だからこの仕事による現金収入は農民たちにとってはまさに命をつなぐ水になっている。若い人々にとっては将来の糧、すなわちIT社会への入場切符を手にするきっかけにもなる。つまりサティヤム社には自分だけ肥え太ろうとするのではなく、地域の住民にサイバーの福音を与え、共に豊かになろうという志があるのだ。そして実際儲かっていて、ニューヨークはNASDQ上場の優良銘柄になっている。サイバーとは、本来そういうふうに使うのが「正しい」のだ。

(参考)
サティヤム社日本法人のサイト http://www.satyam.co.jp/


 サティヤム社の創業者はラマリンガ=ラジュ氏という人で、果たして彼は現地では神様のように尊敬されている。実は氏のようなタイプの経営者はインドでは決して珍しいものではない。インフォシスを創業したインドの国民的英雄ナラヤナ=ムルティ氏もしかりだ。いずれもサイバーをフル活用して自国の貧困を撲滅しようと努力している。私はそこに、ガンジー・ネール以来のインドの良き伝統を感じるのだ。彼らの功績は現在のインド政府高官の誰よりも大きいと私は思う。

 つまり、サイバーが我々に福音をもたらすものだという信念があれば、人はそれだけ努力するものなのだ。私はそういう実例を見ているからこそ、今後世界は二極分化を加速させていくという言説には首肯しかねるのだ。というよりも、そういうことを何のてらいもなく口にできる政治屋や経営者は、単に志や気概を失った拝金主義者に過ぎないとすら思う。しかし残念なことに、今の日本にはそういう拝金主義者が圧倒的多数なのだ。

 何度となく書いているように、私はラマリンガ=ラジュ氏のような福音を与える側の人間でありたい。今こそ日本にはラマリンガ=ラジュ氏、ナラヤナ=ムルティ氏のような高潔な志を持ったサイバー社会の人材の育成が求められている。そういう思いで私はサイバーを利用した人材育成に心血を注いでいるのだ(bbt757.com)。たとえ私の事業が思っているほど速やかに伸びなくても、またいくつかの事業は失敗しても、誰かがその失敗を糧にして私の理念を引き継いでくれるはずだと信じながら。その誰かが私のアタッカーズビジネススクールの卒塾生だったり、ボンドやBBTの大学院の卒業生だったり、経営塾の塾生だったりすれば、これは失敗、とは言うまい。遠隔教育を1998年以来サイバー方式であらゆる機会を捉えてやってきている私にとっては、下克上は望外の幸せ、と言ってもいい。もっともいま、私のところには続々とそういう志を持つものが集まってきている。だからもしかしたら、これは日本でも大きなうねりになるのではないか、とひそかに期待しているところである。

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