(2021年8月4日改定版)事業承継、M&Aの本質が資本の流動化だとすれば、やるべきことが見えてくるはずです

M&Aの本質が資本の流動化であり、それを理解すれば、M&Aを効果的に活かそうと思えば、スタートは業務提携ということも当然ありうるし、それであれば、買収後に誰と何をするのかをあらかじめ理解したうえで、交渉に入るべき、というのが改定前の内容でした。
これに今回付け加えたいM&Aの本質は以下の式です。
売り手の経営力<買い手の経営力
これが成り立っていれば、売り手はよりよい条件でM&Aができますし、買い手は現状の価値よりも高く買収をしてもメリットがあります。何より、よりよい経営が可能になるはずですので、お客さまも社員にもメリットがあるはずです。
イメージとしてわかりやすいのは、世界中で訴訟を抱え、赤字垂れ流し状態であったYouTUBEでしょう。Googleが買収し、訴訟問題をマネージし、さらに広告モデルで収益化を図りました。世界中に動画配信をし、ユーザーを増やし続けていたYouTUBEはすごい企業でしたが、単体ではできないものをGoogleが持っていたわけです。これだけのスケールの話はなかなか当事者になることは少ないかもしれませんが、これがM&A成功の本質であることは間違いありません。デュー・ディリジェンスで細かい点やリスクを洗い出すことはもちろん重要ですが、その前に買収後の上振れ要因を見ておかないと、プラスがないのに、時間と金をかけてマイナス部分のチェックをしても時間と金のムダなわけです。
したがってビジネスをよく知っている業界の中で、どこで組むべきなのか、そうしたところから業務提携、資本提携、買収、という流れで検討をしていくのが自然で、時々、いきなり買収してしまったほうが、売り手・買い手両者に得になるケースもある、と考えて、行動するのが自然だと思うのです。
(以下、改定前の内容です)
株式譲渡とは、資本の流動化の他なりません。株式会社の本質からすれば、資本と経営は分離しています。 株主と経営者は別の人がやるということです。
しかし、実際にはほとんどそうなっていません。株主と経営者が一致しています。経済の実態を否定しても意味がありませんから、これが現在の最適解ということなのでしょう。
しかし、企業の継続、効率化という観点でみると、そもそも株式会社の本質の考え方はまだ利用価値がありそうです。 経営に参加する意思も能力もない株主は、もう期待できないと思えば株式は売却できます。定款による譲渡制限がありますので、実際にはハードルがありますが、そうやって資本がもっともっと流動化すれば、サラリーマンでも事業に参加できるはずです。
M&Aといえば、支配権の移動を伴う取引と考えられています。そうなるとリスクが買い手にとって高すぎます。実は年間4,000件生じているM&Aの取引のうち、およそ半数の2,000件程度は支配権の異動を伴わない出資であり、出資拡大なのです。 これを考えるといきなり買収する必要もないし、実際に資本も人も出して、実際に業務提携してみる、という選択肢もあることがわかります。買収したあとに、何をするかわからないというようなありえないような問題も起きないないはずです。
しかし、これはFAやアドバイザリー会社にとっては有利な選択肢ではありません。かれらの報酬はリーマン方式で、売却金額によって大きく変わります。したがって、FAやアドバイザリー会社だけに頼っていては、こうした手法が非常にとりづらくなってしまうのです。
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