RIZAPの業績悪化は回復しつつあります。IFRS適用のため、少しテクニカルな部分も説明します

2020年6月30日に、RIZAPの業績を確認しておきます。以下の記事はもう1年間以上前のものでした。今回確認するのは、以下の2020年3月期の数値です。
○ライザップ決算短信(2020年3月期)
https://ssl4.eir-parts.net/doc/2928/tdnet/1847488/00.pdf
まだ赤字ではありますが、かなりその赤字幅は減少してきています。営業キャッシュ・フローもプラスになっていますので、1年前よりはかなり改善してきています。
***以下、引用***
***引用、ここまで***
PLはセグメント情報をみておきましょう。RIZAPを含む美容・ヘルスヘア事業はまだ赤字です。RIZAPはIFRS適用会社ですので、減損損失なども営業内になりますので、営業損失要因となります。内情はこの決算短信だけではわかりませんが、営業キャッシュ・フローが改善していることから改善方向に向かっているといえるかもしれません。Gooを中心とするプラットフォーム事業では大幅黒字化しています。実際の、また会計的なリストラが一段落したとみてよいでしょう。あとはRIZAP本業の業績回復が待たれます。
キャッシュ・フローについては先にも述べたとおり営業キャッシュ・フローがプラスに転じており、改善傾向です。手元のキャッシュを減らしていますが、借入返済も進めており=財務キャッシュ・フローのマイナス要因、改善傾向です。
***以下、引用***
***引用、ここまで***
問題はBSです。総資産は1,800億円程度でかわらないのですが、赤字の影響もあり純資産が減少しています。これは当然ですが、流動資産が300億円弱減少、かわりに固定資産が同程度増加、固定負債が200億円程度減少しています。固定資産の増加はIFRS16号の適用による、使用権資産の増加です。これは会計基準の変更によるものですからビジネス的な問題ではありません。
ちなみに使用権資産とは、たとえばRIZAPの店舗を10年間で賃貸していたとします。IFRS16号適用前は、これが資産計上されることはありませんでした。しかし、適用後は10年間使用できる権利をもっており、それに対応する支払義務があるわけなので、これをBSに計上せよというものです。日本基準ではまだ適用されていません。
結果、資産の増加よりも負債の減少が多く、キャッシュ・フローでも見たとおり改善傾向です。あとは本業の回復が業績回復のポイントとなりますが、来客型のビジネスなので、この4−6月、第1四半期の業績はかなり苦しいのではないか、と思います。また更新します。
***以下、引用***
***引用、ここまで***
**以下、2019年5月16日現在の記事**
RIZAPの業績悪化が深刻であると報道されています。赤字転落、借金600億円となると不安にはなるでしょうが、まだ手元のキャッシュも400億円ありますので、よほど金融機関に見放されるような経営をしなければ、すぐに破綻するというような状態ではありません。
子会社の不振が原因となっていますが、赤字に要因はしっかりと見ておくことは必要でしょう。赤字200億円の75億円程度は、撤退を決めている事業からリストラするために引当です。30億円が金融費用です。借入600億円程度にしては高いです。金利の引き下げは現状では難しいでしょうから、借入金の返済が必要です。そして90億円以上が営業損失です。それが一番厳しい点です。
○ライザップ決算短信
https://ssl4.eir-parts.net/doc/2928/tdnet/1708952/00.pdf
***以下、引用***
***引用、ここまで***
ライザップ事業の利益を投資にまわしているモデルでしたが、本業の営業利益が激減しています。11億円まででていますが、その前の年は60億円以上でています。本業で60億円稼いでいれば600億円の借金も心配ありませんが、11億円になると安心はしていられません。不採算部門の切り捨ては必須でしょうが、資金源である本業の回復が一番大きな課題といってよいはずです。
ライザップ、純損失193億円に転落 子会社不振:朝日新聞デジタル https://t.co/meEmx8MEq4
— 大原 達朗 Tatsuaki Ohara (@ohhara_cpa) 2019年5月15日

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