M&Aのハウツー

ファンドから見た投資の視点・資産形成から見た株式投資

今回は、“ファンドから見た投資の視点・資産形成から見た株式投資”について説明します。

 最初に“ファンドの役割”について、整理しておきたいと思います。まずは、“資金を集める”ということです。
 その集めた資金を投資・運用して、配当をすることがファンドの役割です。簡単に言えば、「お金を集め・お金を増やし・お金を出してくれた方(投資家)に出して頂いた方に還元する」というのがファンドの役割です。
 ファンドがその役割を効率よく行っていくために、“少し問題のある企業”を格好のターゲットとします。
ファンドとしては、“問題が大きすぎる会社”に投資しても、回収するまでに時間が掛かりすぎてしまいます。反対に“問題が全くない会社”の場合、ファンドの“お金はいらない”ということになってしまいます。
つまり「多少問題のある会社に投資をして、その問題を短期間にリカバリーして、高値で転売する」というのが、ファンドにとって一番良いやり方となります。
 その問題は、様々な種類がありますが、ファンドに取って一番良い問題は“本業と全く関係の無いこと”でもめているような問題です。
 例えば、株主間あるいは役員間の間で争いが起きている。しかも上場会社である。上場会社の役員間でもめていると、様々な情報を社外に出す必要があり、また漏れたりしますので、ニュースや新聞紙上を騒がせたりすることもあります。
このような時に、ファンドが一旦お金を出して株を買い取ってしまいます。そしてその後、非上場化をさせます。なぜそのような非上場化をするかというと、非上場化になると一転して“外部開示しなければならない情報”がかなり減るためです。
 そのため、外部に情報を開示しなくてもよい期間(非上場の間)に、例えば“お家騒動”といった問題を解決してしまい、業績も上向きになってきたところで、もう一回その会社を上場させるわけです。そうすれば、ファンドは高値で転売することができたことになります。
 ファンドにとって“非上場化”というのは1つのやり方ですが、ファンドが傷んだ会社を一旦引き取って、なんらかの再生をして業績を上向きの状態にして、他の会社に買ってもらう、つまりは“安く仕入れて、高く売却”といった商売の基本が達成できるのです。

要は、ファンドの視点からすると“少し弱点のある企業”が投資適格になるわけです。
ということから、“事業承継をしたい”といった会社も少しの弱点を持っていると言えると思いますので、事業承継を目的(ターゲット)としたファンドも、徐々に出てきています。

 次にファンドの問題について、説明します。
「お金を出して、会社を買います」とのことから投資先にしばらくの間、経営者を派遣します。その際の人件費は“バカにならない”ものとなります。
 そもそもファンドを運営している人たちが、“どの会社にお金を出していくのか?”、“どのような投資者からお金を集めてくるのか?”また、実際に“お金を集める人・管理する人”というのは、そんなに簡単な仕事ではないので、このような方々の人件費は基本的に高い訳です。このようなコストを“誰かが負担しなければいけない”訳です。
 その決して安くないコストを補っても、“余りある利益を見込める案件”でなければ、投資できなくなってくる訳です。要するに、非常に賢いが給料も非常に高い方を何人も何十人も集めた中で、投資ファンドを運営していかなければならないため、“案件の最小ロットが小さく出来ない”といった問題が有ります。 例えば、1億円で買っても2億円でしか売却できないといった会社があった場合、非常に良い会社ではあるが1年から2年の期間をかけて、1億円しか利益が出ないとなると、年収が5000万から6000万もする非常に優秀な人材を雇うことができません。ここがファンドの1つの問題なのです。大型の案件になれば、そのような優秀な人材の人件費を補って余りある利益を見込めるのですが、ファンドにとってはサイズが1つの問題となっているようです。
 このような1億円規模の案件でも、出資できるようなファンドが今後は出来てくれば良いかなと、私は思います。しかしながら、現状では一般的な投資ファンドは、少なくとも1件あたり10億円ぐらいで売却できる見込みの案件(企業)でないと、手を出しにくいのではないかと思います。

 次は視点を変えて、“資産形成から見た株式投資”という視点について説明します。投資家目線という事になりますが、“自分なりの企業評価ができれば、株式投資は難しくない”のです。上場会社を例に取っても、例えばA社という上場会社があったとします。上場会社ですので、株価がついています。
 自分で“この会社の株の価値がいくらだ”というのを算出できる方がいるのなら、株式投資というのは難しくないのです。ただし自分なりの価値を算出できる方というのは、前提としてファイナンスの知識を必要としますし、さらに業界の知識などもないと正しい価値を評価することは出来ないのです。
 教科書的にファイナンスの評価の仕方を分かっているだけではダメなのです。「このビジネスが将来どのように伸びていくのか?或いは伸びていかないのか?」というところを、ある程度正確に見抜けなければキチンとした株価の算定(企業評価)というものが出来ない訳です。
アメリカの著名な投資家である“ウォーレン・バフェット”が「自分の頭で理解できるビジネスにしか投資しない」と言いますが、まさにそれだと思います。
彼の頭の中で理解できているビジネスに関しては、彼なりに将来の予測が厳密にシミュレーションできるのだと思います。ですから今の株価と比較して、このビジネスで株価だったら、「投資適格だろう」、「高すぎるだろう」と判断ができるのです。バフェット以外の人であったとしても、そのビジネスそのものを理解できていないと、正しい企業評価というのはできないはずです。ただし、厄介なことにビジネスのことは分かっていても、企業評価は出来ないのです。つまり、ビジネスのことも分かっていて、さらにファイナンスのことも分かっていないと企業評価というのは出来ないので、それが企業評価の厄介なところです。
 ビジネスについて一定の理解があり、ファイナンスについても一定の理解がある方というのは、みなさんの周りを見回してみても、あまり居ないのではないでしょうか?この両方ができる方であれば、株式投資というのはそれほど難しいものでは無いと思います。
必ず成功すると言っている訳ではないのですが、キチンと根拠を持って意思決定ができるはずです。

 “自分なりの企業評価が出来ない”人が大半だと思いますが、そのような方には、“ファンドに投資しよう”という事も選択肢に上がってくると思います。
 ここで問題になるのは、先ほどファンドの運営立場で説明した“コストが相当かかる”という事です。例えば証券会社で売られているような小口化されている投資ファンドの商品になると、買う時に手数料がかかります。
 また表には見えないようになっていますが、運営コストというのも、ファンドの総額の1%~3%ぐらい、毎年取られるのです。ファンドでかかる費用というのは、ファンドの運営結果に関わらず、すでに支払われている訳なのです。その上で「もし利益が出ていれば皆さんに配当します」という訳です。買うときにも手数料がかかっていますから、そのようなファンドで皆さんが利回りを得ることができるというのは、“ものすごく儲かっていなければならない”ということが多いのです。
 証券会社の方のように、このような商品を販売される方というのは、そのような説明をしてくれません。勿論、説明書を見れば小さく書いてありますが、そういう所まで説明書をキチンと読み解いて、利回りの計算というのを確保しておかないと、たしかに良いファンドではあるのが、手数料が高すぎて皆さんが儲からないという事に陥ることも有りえるのです。ですので、かなりの手数料が控除される可能性が有りますので、投資ファンドに出資をする際には、その点を十分に考慮して頂ければと思います。

このように、投資ファンドの仕組みや全体像が分かっていれば、「投資ファンドを上手く利用しよう」、「投資ファンドに出資してみよう」という立場になったとしても、大きな見込みの誤りなどは無くなると思います。ですので、まずはこのようなベーシックな仕組みを理解して頂ければと思います。


M&A実務を体系的に学びたい方は、M&A実務スキル養成講座


メルマガ登録はこちら

大原達朗の経営リテラシー-自ら考え、行動しよう-

まずはここから!学びを深めるための人気記事5選

  • 経営者のための「決算書(BS、PL、CF)」講座
  • 経営者が知っておくべき事業譲渡とは?(2018年10月11日改定版)
  • サラリーマンではないが、300万円で会社を買って困っている方がでてきています。困らないためにやるべきただ1つのこと。(2020年12月18日改定版))
  • 経営者が知っておくべき営業権譲渡と営業譲渡(2018年10月11日改定版)
  • 1,000万円で買える会社とは?個人M&A・スモールM&Aと起業(2019年7月24日改定版)
  • M&A売却希望

    M&A買収希望