のれんの会計処理については、日本は償却、IFRSは償却せず減損のみという大きな差異があります。

ところが、IFSRでも償却をすることになる可能性が出てきました。
これは決して日本が優れていることを示しているわけではありません。

日本ののれんを償却する理由は、本誌の理解では実態のないわけワケワカランものをBSにいつまでも載せておくのはいかん、というものです。

その原因として、日本では買収時の対象会社の分析が弱く、買収したあとにPPAの分析を外部の業者に依頼する会社が多発するなど、まったく意味不明の実務が横行していることがあげられます。

買収対象会社のBSの時価評価、付加価値評価が甘いため、買収金額と対象会社の純資産の差額が大部分がのれんとなり、それって、実態のないわけワケワカランじゃないですか、と考えるのが一番わかり易いです。

のれんの償却をしてしまうと、買収時の価値を維持したまま、会社を売却するのとその際に売却益が多額にでてしまいます。投資家向けに正しい開示をしようとすれば、どんな事業計画を考えているのか、を明記すればOKです。何年で資金回収をしようとしている。だからその期間でのれんを償却します、予定通りいかないなら減損します、とするのがベストでしょう。

これもM&Aは金融取引から始まったことが要因なのでしょう。すなわち転売、もしくは上場によってexitを目指す取引であればexitの際の売却損益を正しく表示するにはのれんの償却は不要です。

しかし、事業取引として転売などのexitを想定していないのであれば、対象会社からのキャッシュ・フローだけで投資を回収するわけで、予定どおりいったときに、のれんがすでにない、というのは正しい処理なのかもしれません。

そうなるとしても、それぞれの買収案件の事業計画は簡易版でもよいので開示すべきでしょう。それなしに償却だけ始まると不安はあります。

IFRSの「のれん」償却、22年秋にも採決　IASB議長: 日本経済新聞 https://t.co/kmcqM6iPiB

— 大原 達朗 Tatsuaki Ohara (@ohhara_cpa) May 27, 2022

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