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M&Aの売り手と買い手、「買収金額」の重要性について

例えば、皆さん、ソフトバンクはご存じですね。ソフトバンクがイー・アクセスを買いました。イー・アクセスというのは、皆さんにとっては、もしかしたらイー・モバイルのほうがよくお耳にするかもしれません。イー・アクセスという会社がイー・モバイルを吸収合併して買いました。
イー・モバイルというのは、ソフトバンクという買い手が買いたい対象会社です。イー・モバイルの株を売ろうか、買おうかという議論をしていたわけです。売り手というのは、イー・モバイルの株主のことを言います。イー・モバイルは上場会社でしたので、株主は相当います。1人ではないのですけれども、オーナー企業であれば、ここの下に書いてある対象企業というのがあって、そこの株はほとんどオーナー社長が持っていますとか、あるいは、オーナー社長とそのご家族が持っているということです。売り手と買い手と対象会社というのがあると思ってください。

事業承継の一つのツールとして使おうと考えると、これでしょう。これは極めて当たり前な話ですけれども、従業員とか取引先といったところを新オーナーに引き継いでもらえます。会社をやめてしまえば商売がなくなってしまうわけですから従業員の方には辞めていただかなければいけないし、お取引先との取引というのもなくなってしまうわけなので、事業承継のツールとしては、これが一番の大きなメリットかなというのがあります。
ついでに言うと、一つ下にありますが、会社をつぶそうと思ってもお金がかかります。多少、お金がかかります。売却をするということになれば、お金をもらえるわけです。怪しいことを説明しているような気がしますが、そんなに怪しいことではなくて、極めてシンプルです。1円でも値段が付けば、お金をもらえるわけです。逆に会社をつぶそうと思ったら、多少、お金がかかってしまいます。そういう意味では、売却できるものであれば売却したほうがいいとだろうと思います。

買い手が間違いないのは、上は、教科書的によく言われることです。経営に必要な資源をスピーディーに獲得できる。例えば、1店舗ラーメン屋をやろうと思ったときに、ゼロから立ち上げてやるよりは、すでにビジネスを営業していて1日何杯かは分からないけれども売り上げが立っている店舗を買ったほうが、間違いなく早いです。問題は金額です。金額が適正かどうかです。自分でゼロから始めるよりも、いろいろなケースを確率統計で考えて、買ってしまったほうが安いと思えて、しかも投資した金額がちゃんと回収できると見込めれば、絶対にこっちのほうが安いです。ですから、金額次第です。
ものすごく高値でつかまされるとすれば、M&Aは全然うまくいきません。日本の今の大企業のM&Aというのは、この金額が高いです。どう見ても、ものすごく高い金額で買ってしまっているケースが多いです。非常に多いです。ですから、まだまだ結果が出てきていないのですが、高値でつかまされている企業が多いので、この先、結構苦労するかもしれないです。ここから、それは見ていかなければいけないのかなと思います。ですから、皆さんがもしM&Aをやるとか、M&Aのアドバイスを皆さまのお客さまにやるときには、ここです。

ビジネスそのものに関してはご本人たちも分かっているはずです。ラーメン屋を、札幌ではブイブイ言わせているけれど、東京に何店舗出してもうまくいかない。どうしても繁盛店を持ちたいということであれば、探せばいいわけです。ここがいいというのは、大将とかオーナーのほうがよく分かります。問題は、いくらだったらちゃんと元が取れるのかというところを客観的にうまく意見をあげないといけないのだろうなと思います。
ですから、金額です。いくらで売買するかというのは、アドバイザーの立場とするととても重要です。「経営予測や投資回収予測が立てやすく、リスクが低い経営を可能にする」と言っていますけれども、事業計画を考えていただけるとお分かりになると思います。

皆さんはいろいろなお仕事をされていて、場合によっては創業用の資金を調達するために、旧国金、日本政策投資銀行に事業計画を出されたりそれを手伝ったりするケースがあるかもしれませんが、あんなものは絵に描いた餅ではありませんか。創業ですし、全然やったこともないわけですから。何となくこのくらいできればいいというのをA4の紙1枚でお金が出てきてしまうわけですけれども、あれもよく考えてみると恐ろしい話で、M&Aの事業計画のほうがよほど厳格に立てられます。なぜかというと、去年の実績があるからです。

昨日までの実績もあるので、皆さんがゼロからビジネスを始めようと思ったら、実績ゼロですよね。それよりもよほど投資回収の予測は立ちやすいです。リスクの低い経営を可能にします。金額さえ適切であれば、です。初めにすごいお金を払ってしまったらものすごくリスクが高いわけです。どう見ても回収はできないじゃないですか。

この金額というのは、特に上場会社の場合は恐ろしいです。ガンホーを知っていますか。ガンホー・オンライン・エンターテイメントという会社があります。皆さんは、スマホあるいはiPad、アンドロイドでもいいですけれども、お持ちですか。皆さんはやっていないかもしれませんが、お子さんはパズドラをやっていませんか。パズルアンドドラゴンです。

あるいは、皆さんは、通勤はお車ですか、電車ですか。いろいろお尋ねしたいところですけれども、電車の中でスマートフォンでゲームを思い切りやっている人はいませんか。あれで一番はやっているのがパズドラ、パズルアンドドラゴンというやつです。それをプロデュースしている会社がガンホーで、ソフトバンク社長孫正義さんの弟、孫泰藏さんがやっている会社です。その会社の時価総額が、昨日、2400億くらいです。株価が240万くらいになりました。
株価というのは発行済み株式が少なくなれば高くなるので、株が240万というのは別にびっくりする必要はないですけれども、私が9カ月ぐらい前に、うちの息子がパズドラにすごくはまっているのを見て、電車でも周りを見回してみるとみんなパズドラをやっているということで、これは大至急この会社の株を買わなければいけないと思って調べたときには、株価は30万円とかです。今の8分の1でした。先に言っておきますが、買っていません。なぜなら、30万円でもものすごく高いと思ったからです。30万円でも、本当に高いと思ったんです。

今なぜ240万円になってしまったかというと、パズドラがずっとはやっているということをみんなが見てきたからです。どんどん上がってきたのですけれども、12月決算で、この間決算発表をしました。売り上げが、前年90億円くらいから250億円くらいになっていました。ですから、3倍近くになっていたのです。最終利益は20億円くらいだったのが90億円くらいになりました。すごいですよね。ゲーム一つで、純利益が90億円です。確かに鼻血が出るくらいもうかっているのですけれども、でも、2500億円です。30年分です。高すぎます。

簡単です。パズドラというのは、ガンホーという会社にとってみても、今までにあり得ないくらいのヒット作なわけです。盆と正月が一緒に来たようなヒット作です。これが30年間続いて30年間で回収できる金額です。でも、そうやって株価というのは決まっていってしまうわけです。上場会社は、当然株価を参考にして決めざるを得ないので、M&Aをするときの価格というのは結構大事だと思います。

IT系は、むちゃくちゃな金額で買収されることも、中にはあります。今言ったような、利益で投資金額を何年間で回収するのかというのをPERと言います。時価総額が利益の何年分なのかという指標ですけれども、30年とかいうのは結構日常茶飯事です。これからものすごく成長すると思っている会社であれば、30年くらいはどうというとはないです。だって、実際には30年よりも早く回収するわけですから。きっと3年後には利益が3倍とか5倍になると思ったら、買収するときは30倍でも、本当に2年後、3年後に3倍稼げれば、結果としては10年以内に回収できてしまうわけです。でも、あれだけ一発で化けた会社というのは、これからも化け続けるというのは、なかなか考えにくいですよね。

ただし、そういった将来の数字を見込んで今の価値に引き直した金額で売買はされるので、その適正価値というのを客観的にアドバイスしていくというのは、アドバイザーにとってみればすごく大事なことです。

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