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高利回りの裏にある元本リスク 企業融資ファンドは銀行の代わりなのか

高利回りの裏にある元本リスク

企業融資ファンドは銀行の代わりなのか

日本企業のM&Aが増え、銀行融資だけでは資金需要を支えきれなくなる。そこで投資ファンドが企業向け融資に乗り出す――。日経新聞の記事は、ポラリス・キャピタル・グループが1,000億円規模、トパーズ・キャピタルも最大1,000億円規模の融資ファンドを目指す動きを伝えています。

この記事を読むとき、まず押さえるべきなのは、エクイティとデットの違いです。エクイティには、投資元本を決まった時期に返す義務がありません。投資家は事業の残余価値を引き受け、成功すれば大きな利益を得る一方、失敗すれば投資額を失います。

デットには、元本と利息を返済する契約があります。貸し手が受け取れる利益は基本的に利息に限られますが、借り手の業績が悪化しても返済義務は残ります。返済が止まれば、貸し手は回収不能や貸倒れの損失を負います。つまり、デットは「利息が決まっているから安定している」のではありません。返済を受けられるかどうかが、借り手の信用力にかかっています。

今回の記事では、大手行の融資金利が3〜4%程度であるのに対し、ファンドの資金調達コストは4〜6%程度、ポラリスが想定する劣後ローンでは貸出金利が10%弱とされています。高い利回りは魅力に映ります。しかし、それは貸し手にとって安全性が高まったことを意味しません。むしろ、銀行より高い金利を払わなければ資金を得にくい企業に貸すこと、さらに劣後ローンでは返済順位が低いことを反映している可能性があります。

利息が高くなれば、借り手の返済負担も重くなります。高い金利を負担できる事業計画なのか、買収後の利益で元本まで返せるのか。そこを見誤れば、利回りを得るはずの融資が、元本を回収できない投資に変わります。高い利回りを求めるほど、資金の出し手は信用リスクを引き受ける。そのリスクは、貸出金利の数字だけでは測れません。

サブプライム危機が示したのも、金融商品に資金が集まることと、投資家がリスクを理解していることは別だという事実です。当時、多くの市場参加者が複雑な商品を独自に十分評価せず、格付けに依存していました。住宅ローンの内容や証券化の仕組みが見えにくくなる中で、損失が顕在化すると投資家の信頼が崩れ、流動性も急速に失われました。

もちろん、今回の企業融資ファンドをサブプライム証券と同一視することはできません。貸付先も商品設計も異なります。ただし、投資家が「高利回り」という結果だけを見て、融資先の返済能力、債権の返済順位、損失時の回収可能性を理解しないまま資金を出すなら、共通する問題が生じます。ファンドに出資する機関投資家は企業へ直接貸すわけではありませんが、ファンドの損失を通じて融資先の信用リスクを負います。

銀行の外に資金供給の担い手が増えること自体は、M&Aや事業再編を進めるうえで意味があります。問題は、その資金がどこから来て、どの企業に、どの順位で貸され、損失が出たとき誰が負担するのかです。

**高い利回りを見て資金が集まることと、その元本リスクを理解した資金が集まることは違います。**銀行融資の不足をファンドが埋めるという説明だけでなく、銀行が取りにくいリスクを、ファンドの出資者が本当に理解して引き受けているのか。そこを問わなければなりません。

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