IFRS

要するに:IFRSのれん処理の整理

今回はのれんの償却について、IFRSを適用すると要するに何が変わるのかを簡潔に整理してみたい。

まずは日本の処理を簡潔にまとめてみる。規定は以下のとおりだが、まとめると、のれんは20年間以内に定額法等にて償却。負ののれんは一括で利益計上。そして、減損会計の適用がある、ということである。

企業会計基準第 21 号 企業結合に関する会計基準
**以下、引用**
のれんの会計処理 
32. のれんは、資産に計上し、20 年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却する。ただし、のれんの金額に重要性が乏しい場合には、当該のれんが生じた事業年度の費用として処理することができる。 
 
負ののれんの会計処理 
33. 負ののれんが生じると見込まれる場合には、次の処理を行う。ただし、負ののれんが生じると見込まれたときにおける取得原価が受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額を下回る額に重要性が乏しい場合には、次の処理を行わずに、当該下回る額を当期の利益として処理することができる
**引用、ここまで**
これに対してIFRSでは、定額法等による償却は必要なく、毎年減損テストを実施し、必要に応じて減損処理を実施することになる。

細かいことを抜きにしていえば、当然企業のM&Aの際には、DCF法等にて将来キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に修正して買収価額を決めている。その前提が大きく崩れる、いいかえれば予定どおり稼ぐことができなければ、当然、のれんはその価値を失うことになる。結果、減損処理を余儀なくされる。簡単にいってしまえば、予定どおり稼げるのか、稼げないのか、という点がポイントとなる。

その前提に、のれんを計上する前に識別可能資産にのれん相当分をしっかりと配分する必要があることはお忘れなく。米国ではこの識別可能資産に適正な分配がされているかどうかを監査上、かなりしっかりチェックされる。仮に償却資産に分配されるべき金額がのれんに混入していては、毎年の利益が変動するので当然ではあるが、米国と比較して、今のところここの監査はそこまで厳しくはないように私の個人的経験では感じられる。

結果として大型買収をし、多額ののれんを計上したJT(ガラハーを買収)などがIFRSを適用することとなった。以下の決算短信によると、のれんについては遡及修正されてしまっており、影響ががはっきりしなかったが、2012年2月29日のリリースによると年間830億円とある。日本基準による営業利益が3,650億円なので、20%以上の増益効果がある。これを揶揄して、IFRSが信用できないとするむきがあるが、それは違う。予定どおりかせげばくなれば、その時に一気に減損として費用処理されることになり、日本のように特別損失として開示することも許されない。しかし、任意適用だけを認めている現状では、都合のよい会社だけがIFRSを適用してしまうことは避けられないのも事実だ。

◯JT 平成24年3月期IFRS決算短信

◯国際会計基準(IFRS)の任意適用に関するお知らせ(2012年2月29日)
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