全農と農林中金がイギリスの食品卸を買収すると報道されています。今後もこの方針は継続されるようで、農作物の輸出を増やすために海外企業のM&Aを進めていくとしています。

１つの大きな懸念は、輸出を増やすために海外企業を買収する点です。輸出というのは純粋にビジネスですから、本来は、M&Aなしに輸出は可能なはずです。もちろん、より利益率をあげるため、自前で販路を持つことが必要になってくるフェーズもあるはずですが、まずは製品力を高め、そもそも輸出に耐えられるのかの検証が必要になってくるはずです。

次にこれら買収企業の経営を誰がやるのか、です。もちろん現地の経営は、現地人が実施すればよいのですが、買い手は大きな投資案件になりますから、この投資回収を確実に実施するために、きっちり経営に参加し、モニタリングをしなければなりません。これは、役員を数名派遣し、取締役会に出ている程度でできるものではありません。

農林中金は、IR資料にもあるとおり、昨年度は5,000億円以上の経常収益を上げ、貸出金だけでは運用が足りず、有価証券を１兆円以上、保有しています。すごい資金力を持っています。したがって資金的には問題ないはずです。

上記は何も特別なことではなく、全農、農林中金レベルであれば当然、考慮、対策済みでしょうが、M&Aで陥りがちなケースで、大きなリスクを抱えてしまうケースですので、注意喚起の意味を含め、意見を述べさせていただきました。

全農と農林中金、英食品卸を買収　　：日本経済新聞 https://t.co/Mbn2KVpq9x

— 大原 達朗 Tatsuaki Ohara (@ohhara_cpa) 2016年11月6日

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