セブンアンドアイHDの鈴木会長が、社長交代の人事案を否決され、このままでは確執が残ると自身の引退も表明しました。ご自身のお子さんをセブンの社長にしようとしたなど、本人が否定する報道もありますが、ここではそれはおいておき、カリスマの鈴木会長が事実上、更迭されてしまった理由を考えておきます。

セブンアンドアイは委員会等設置会社といって、株主総会に推薦する取締役を決めます。ここでは社外取締役が過半数でなければならず、ここで鈴木会長の人事案が否決されたわけです。指名委員会では、あくまでも株主総会へ推薦する取締役を決めるだけですが、ここで推薦を得られなければ、株主総会で審議をされることがないため、かなり重要な役割を占めるわけです。

ここで、結局、最終的には誰が役員を決めるのか、という問題ですが、これは間違いなく株主です。そこで、セブンアンドアイHDの株主構成を確認しておきましょう。有価証券報告書に記載されていますので、以下に引用しておきます。

＊＊＊以下、引用＊＊＊

＊＊＊引用、ここまで＊＊＊

筆頭株主は伊藤興業株式会社7.77％、伊藤雅俊氏が1.9%まで持っていますので、創業家の伊藤家で10％の株を持っています。時点は信託銀行を除くと日本生命の2.0%ですから、大きな方針はほぼ伊藤家の意向が通ると見てよいでしょう。鈴木会長の貢献は誰もが知るところですが、増収増益を続ける社長を解任したいという考えが、最終的に創業家に同意を得られなかったということでしょう。鈴木会長の名前は上記の大株主にはありません。カリスマであっても彼はプロの経営者で、オーナーではありません。したがって、自分の思うようにすべてを決断することができないわけです。

しかし、上場会社であってもまだまだ多くの株式を経営者が保有し続けている企業もあります。ユニクロのファーストリテイリング、ソフトバンクなどは柳井社長、孫社長が筆頭株主として君臨しています。彼らであれば鈴木会長がやろうした人事も可能です。

オーナーと経営者が完全に分かれていることを所有と経営の分離と言いますが、セブンではこれがすでにできていて、彼らなりの判断をした、ということでしょう。

大原 達朗 Tatsuaki Ohara@ohhara_cpa

鈴木敏文セブン&アイHD会長が引退表明　会見で語ったセブン―イレブン社長人事の確執とは https://t.co/8DKBHXwDlY # @HuffPostJapanより

2016/04/07 19:53:39

 

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