事業承継の問題が取り沙汰されて久しい。
うまく事業承継が行われているケースもあるが、思うようにいっていないことも多い。

現場発の直近の事情をお伝えしたい。

１）一番ありがちなのは、売り手の経営者が事業承継を甘く見ていること。借金が＊＊円あるから、それ以上で引き取って欲しい、これまでの投資が＊＊円あるから、それ以上で引き取って欲しい、真面目に経営すれば儲かるので、ウチの会社には価値があるはずだ。

買い手の立場に立って、そんな言葉が本気で口に出せるのか、胸に手を当ててよく考えて欲しい。真面目に普通に経営すれば儲かるはず、ウチの店は立地がよいから、その分価値を考えて欲しい、こんな言葉は甘い経営者の口から日々出てくる。

まずは、普通に真面目に経営し、立地の良さを売上、利益として結果として出してほしい。そうすれば、買い手はいくらでも出てくるはずだ。

２）１）のケースは容易に想像できると思うが、新たな傾向も出てきている。業績が良すぎる企業の事業承継だ。今、業績が良いのは分かる。しかし、社長が抜けて、自分たちで経営できるのか、自分が社長としてアサインされた場合に結果を残せるのか、難しいと判断した場合には、今のうちに辞めたほうがリスクが低いのではないだろうか、と買い手が考えてしまうケースだ。

こういった不安の中で、よい案件にも関わらず買いの意思決定ができない。M&Aはカネさえあればできるものではない。またいくらよい売り手でもまったく問題のないことはない。事業承継案件の場合、経営者交代をしなければならないというのが一番の問題だ。カネは出すが、経営はみなさんにお任せしたい、というスタンスではM&A後の成功など覚束ない。

こんなことは経営者の皆さんは当然の如く認識されているはず。しかし、実務担当者にこのことが伝わっているだろうか？もしかするとビックチャンスを担当者のリスク回避型思考によって、逃していることがないか、経営者の皆さんにはぜひチェックしていただきたい。

 

本誌は、M&Aを売り手、買い手、アドバイザーが三方良し、となるのが当たり前の世界の実現を目指しています。そのためには当事者が正しい情報を得て、安心して相談のできる場が必要です。その実現に向けて本誌は、日本M&Aアドバイザー協会で、以下のサービスやセミナーを提供しております。