日米の銀行での稼ぐ力の格差が拡大しているということです。ROAでみるとアメリカの主要行が０．７％−１％程度であるのに対し、日本のメガバンクは０．３％程度です。

銀行は、預金を含めて、資金を預り、それを運用して稼ぐモデルですから、ROAは極めて重要な経営指標です。

この差は、M&Aや株式・債券に関するアドバイザリー業務＝投資銀行業務であるということです。日本でも三菱UFJとみずほが増益になっているのは、この投資銀行業務が貢献した、と日経の記事では述べています。

それであれば、日本の銀行はどうすべきでしょうか。メガバンクだけでなく、地銀、信金も同じような問題を抱えているはずです。

１つの選択肢は投資銀行業務を拡大する、ということでしょう。
しかし、これは簡単なことではありません。伝統的な銀行業務と比較すれば、まったくの新規事業といってもよいかもしれません。

ということは失敗すると、これまでの蓄積を使い切ってしまうこともあります。

１つの対策としては、既存の業務は既存の業務で稼げる限り続けていく。稼げなくなった時点で、解散・清算をして配当をしてしまう。一方で、新規事業は完全なリスク投資になるため、あらたに出資を募り、そのリスクを理解してくれる投資家のもとで事業を開始する、ということです。

メガバンクグループのビジネスは複雑で、こんなことできるかーー、というのが実情であることは理解しています。

ただし、大切なことは、

「会社を今のまま残すことだけが正義ではない」

ということです。
全部ごちゃまぜにして儲かった、儲からなかった。過去の蓄積を全部使い切ってしまった、ではなく、色分けを明確にすることが重要なのではないか、というシンプルな考え方も大切なのではないかと思うのです。

日米銀、稼ぐ力の差拡大：日本経済新聞 https://t.co/rJE8kUKmzi

— 大原 達朗 Tatsuaki Ohara (@ohhara_cpa) May 17, 2021

本誌は、M&Aを売り手、買い手、アドバイザーが三方良し、となるのが当たり前の世界の実現を目指しています。そのためには当事者が正しい情報を得て、安心して相談のできる場が必要です。その実現に向けて本誌は、日本M&Aアドバイザー協会で、以下のサービスやセミナーを提供しております。