2012年10月19日の日経新聞に掲載された以下の記事。ソフトバンクが買収予定のスプリントネクステルがクリアワイヤー社の株を買い増し、おそらくは子会社化すると思われる。

スプリント、米高速無線会社の経営権取得
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD180ML_Y2A011C1TJ0000/

ここでは、まず同社の財務状況を確認しておく。
元資料は2011年の同社のアニュアルレポートをまずチェックしてみる。以下のP.72以降に2011年12月現在の決算書がある。

http://files.shareholder.com/downloads/CLWR/2126511372x0x568335/AD695BFC-210B-49DF-BFCC-103392CD47C2/10K_Clearwire_BMK.PDF
 

概要だけまとめておくと以下のような感じ。簡便的に日本円には１ドル＝80円で換算しておく。

売上　　　　　 12億ドル（960億円）
営業損失 　　△23億ドル（△1840億円）
税引前損失　 △27億ドル（△2,160億円）
少数株主損失 △21億ドル（△1,680億円）
純損失　　　 △  7億ドル（△490億円）

総資産　　　　 88億ドル（7,040億円）
純資産　　　　 11億ドル（880億円）
少数株主持分　 25億ドル（2,000億円）
借入金　　　　 40億ドル（3,200億円）

営業CF　　　△9億ドル（△720億円）
投資CF　　　△1億ドル（△80億円）
財務CF　　　＋7億ドル（560億円）
期末キャッシュ  9億ドル（720億円）　　

正直、相当厳しい状況。
財務的にはこのままいくと２年くらいで債務超過。また特徴的なのは、少数株主損失が大きいこと。これは、子会社でかなり大きな損失を出しており、さらにクリアワイヤー以外の株主がいることを示唆している。

そこでグループ関係図を確認しておく。

アニュアルレポートP.5に記載のある上記の図によると配下のLLCで大幅に損失を計上しており、その損失がスプリントおよびコムキャスト、タイム・ワーナーケーブルなどの少数株主に配分されている可能性が高い。

簡単にいうと、上記の各LLCでだしている損失は全部クリアワイヤーのものでなく、他の株主も負担するものだから、彼らにもってもらっているという感じだ。

それにしても営業損失24億ドルで、少数株主損失が21億ドルというのはちょっとバランスが悪い。これは今後、もう少し詳細を確認する必要がありそう。

スプリントがクリアワイヤーを子会社化すると、スプリントに対してクリアワイヤーが持っている少数株主持分は相殺されるが、スプリント以外の少数株主持分はスプリントでも計上されることになるだろう。いいかえると、スプリントのBSはさらに重く、キツイ財務状態をあわらすことになりそうだ。

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