ビデオで知るファイナンス

資金調達とクラウドファンディング

 今回は、“資金調達とクラウドファンディング”という内容でお話したいと思います。
まず日本の代表的なクラウドファンディングのサービスは、ミュージックセキュリティーズ、セキュリテ、マネオ、また、キックスターター、キャンプファイヤー、レディーフォーなどいくつか有ります。みなさんの中には、お聞きになったことがある方やご利用したことがある方もいらっしゃるかもしれません。

いくつかあるクラウドファンディングのサービスというのは、お金の出し方によって3つのタイプに分かれています。
ミュージックセキュリティーズなどは“ファンド型”などと呼ばれていて、これが皆さんの想定している通常のクラウドファンディングとなります。“ネット上で不特定多数の方(所)から資金を集めて投資をする”といったものが“ファンド型”になります。

一方で、マネオは“貸付型”となっています。“貸付型”というのは要するにファンド(投資)というよりは、“お金を貸す”というサービスになります。クラウドでお金を集めて貸付けるといったサービスです。結果的には、お金が欲しい方は資金調達を出来ている訳ですが、“貸付”ですので、借りた方(資金調達をした方)はお金を返さなければならない訳です。
 
 一番多いのは“寄付型”や“購入型”と言われているもので、クラウドファンディングとは言っていますが、実際には投資では無くて“寄付”の形をとっています。
「この商品、サービスは面白そうだな」あるいは「過疎地を救いたい」というような活動に対して、「是非これは協力したい」ということで、お金を寄付するのが“寄付型”となります。
“購入型”というのは、良くある例で言うと、「これから新しい商品を作ろうと思います。」、「このようなコンセプトのサービスを作ろうと思っています」
まずはプロトタイプを作る必要が有りますが、そのためには1,000万円かかりますので、資金の提供をお願いいたしますとオファーがあり、不特定多数の方からお金を集め、プロトタイプの内1台を譲ってもらう。これが購入型となります。
不特定多数の方々からお金を集めるという事は、“購入型”でも可能なのですが、実際の契約は“物を買っている”ということなのです。例えば、その投資をした先(会社)が上場したとします。しかし、そこから上場益を得ることはできないようになっています。
ですから、クラウドファンディングというのは、インターネット上(クラウド)から不特定多数の方から資金調達をしていくという役割は果たしているが、実際の投資という意味で言うとハードルがあるため、なかなか出来ていないというのが現状です。

クラウドファウンディングとは
 あらためてクラウドファウンディングとは「いったい何なのか?」と言うと、金融庁が検討している際の資料によると、クラウドファウンディングとは“一般に新規成長企業と投資家をインターネットサイト上で結びつけ、多数の投資家から少額ずつ資金を集める仕組み”と言われています。
 そういう意味では“寄付型”であろうと“購入型”であろうと、少額の資金をインターネットを通じて多数の投資家から集めるという事は出来ている訳です。先ほども申し上げた通り、その累計として“寄付型”・“投資型”・“購入型”というものがあるということです。

 “寄付型”・“購入型”・“投資型”ということについて言うと、一番ハードルが高いのは“投資型”となります。この“投資型”というのはいわゆる“一般投資家として株を買う”という投資であるため、ファンドにお金を出すというとこの形が一般的となります。
但し、このサービスを行おうとすると第2種金融業という資格(許認可)を取得する必要があります。
 この資格(許認可)は、普通の一般の方が取得し運営していくことは中々難しいため、先ほど説明させて頂いた日本のクラウドファウンディングのサービスは、“投資型”というより“寄付型”や“購入型”になっている訳です。

凄く重要な事なのですが、“寄付型”・“購入型”では大きなお金になる(大きなお金を集める)ことは難しいのです。なぜならば“寄付型”であれば、基本的にはお金を相手にあげてしまう訳ですし、“購入型”というのは「すごく面白いサービス(商品)であるから、投資してみよう」と思っても、1つの商品(サービス)を送ってもらったら(提供してもらったら)、その投資は終わりになってしまう訳です。
 そのため、長い意味での関係性が構築できないし、そのビジネスが大きく成長した際に、大きなリターンを得ることができないといった弱点があります。

クラウドファウンディングを難しくしている原因は規制です。そのやり方というのはいくつかあるのですが、ファンド型という事になると匿名組合という組合を使い、不特定多数の方からお金を集め、それを出資にまわすといったスキームをとるのですが、このようなスキームをとる際に免許(許認可)が必要になってきます。
 その免許(許認可)というのは、基本的には証券業を行っている会社でなければならない訳です。既存の証券会社は、やる気に(参入しようと)なれば、可能なのですが、現時点では、彼らのような既存の証券会社はクラウドファウンディングに取り組んでいないことを考えると、現時点では、大手の証券会社は正直言って“あまり儲からない”、“社会的インパクトが余りない”と考えているのだと思います。
 今まで、証券業を行っていない新規のベンチャー企業などが参入しようとすると、“規制の壁”に当たって、なかなか上手くいかないというのが現状です。

募集(売り出し時)の開示義務
 今までは、資金を集める際のファンドの規制について説明しましたが、今度は資金を集めた場合(資金を集めた会社)について説明いたします。

資金調達をする際に1,000万円超を集めてしまうと、有価証券通知書というものを提出しなければいけなくなります。1億円以上集めてしまうと、有価証券届出書という上場会社並みの情報開示をしなければならなくなります。これが資金を集める会社にとって大きなハードルとなってしまっています。
資金を集めることを“募集”と言うのですが、その際に50人以上からお金を集めてしまうと、それを行うためにまた証券業の免許(許認可)が必要になってきます。つまりは、規制が掛かってくる訳です。
“1,000万円以上のお金を集める”、“50人以上の投資家を集める”となると、規制がどんどん厳しくきてしまうのです。良く考えてみると、クラウドファウンディングとは、“不特定多数からお金を集めたい”訳ですので、当然50人以上になる可能性が高い訳です。不特定多数の人からお金を集めることができれば、1,000万円以上資金が集まることも当然ある訳なので、現時点では“使いづらい制度”というのが、このクラウドファウンディングという実態ではないでしょうか。

有価証券通知書・有価証券届出書などについて
 このような開示書類は非常に手間が掛かります。そのためクラウドファウンディングを広く一般的に使おうと思えば、先ほど説明した50人未満にいなければいけないとか、調達する資金を1,000万円未満に抑えなければならないなど、規制が掛かってきしまう訳です。

 証券業の免許が必要な場合というのは“募集”なのですが、お客様(投資家)を集めるための“活動や勧誘”がありますが、この定義というのも明確になっていません。なぜならば、この法律を作成する際にクラウドファウンディングのことを考えていない(考えることができなかった)訳です。クラウドファウンディングをやろうとしたら、その行為が勧誘にあたってしまうかもしれないのです。例えばですが、かつてこのようなアイデアがありました。
 ピッチをご存知でしょうか?様々な投資家やベンチャーキャピタルなど投資に興味がある方が集まって、そこにこれからベンチャーを始める人が集まってプレゼンをする場をピッチと言います。  
そのプレゼンが良ければ、“一緒にビジネスをしよう”とか“お金を出そう”などという事になり、将来的に繋がる場です。ただし、このピッチも場合によっては勧誘に繋がってしまう可能性があります。
 そこで証券業の免許を持たない一般の方が資金調達を行ってしまうと、また規制に引っ掛かってしまう可能性が有ります。しかしながら、それが真っ黒(違法)だとは、どこにも書いていない訳です。ただし、実際に色々なアイデアを持って、資金調達を行っていこうとすると規制の壁が非常に大きいというのが現状です。

 なぜ、それほどまで規制を厳しくするのかというと、やはり“不特定多数の方からお金を集める”となると騙す奴(個人、会社)が出てくるからです。
 よくあるのは、お金をお持ちの高齢の方々に儲け話を持って行って「1,000万円を投資してくれたら、3年後には3倍にしてあげる」などといった勧誘です。このように不特定多数の方から簡単にお金を集めるようにすると、詐欺を行う輩がすごく多くなってしまうので、それを防ぐために金融庁は規制をかけているのです。
その結果として、“真面目にベンチャーをこれからやろう”、その彼らに“クラウドファンディングでお金を集めていこう”としている方々にとっては、ブレーキになってしまっているというのが現状です。

金融庁はこのような“募集・勧誘”に対する規制を厳しくしようとしています。かなり厳しくしようとしていたのですが、一方で金融庁はこのような資金調達(資金を出す)ことをプロだけにやらせようとしています。
 例えば上場会社であるとか、資本金が5,000万超の株式会社(つまりは大企業)といった会社にしか“募集・勧誘”を認めないようにする法案を通そうとしたのですが、流石にそれはやり過ぎで適正なベンチャーキャピタル企業やマーケットの成長を阻害するといった反対意見が出たため、一旦は取下げになっています。
 一方ではこのような規制をしていかないと、詐欺の被害に遭われる方が沢山出てきてしまっているので、今後は規制がさらに厳しくなると予想されます。

 ただし、このような状況はある意味ビジネスチャンスであって、免許(許認可)さえしっかりと持っていれば資金調達ができる訳ですので、「大口でも小口でも良い、広く多数の方々からお金を集めてベンチャーに投資しよう」というやり方は出来ない訳ではないのです。決していい加減にやる方々(会社)だけではないのです。

但し、手間が非常にかかりますので、リターンが非常に高い案件(投資先)を見つけてこなければならない訳です。今までの業者はそのような手間を省いて(そこまで労力を掛けなくてももっと儲かる商品が他にあるので)商売(ビジネス)をしてきた訳です。

 ここに目をつけると、有力な投資先とし、事業承継のような案件についても当然資金が必要になってきますし、これからビジネス(会社)をやろうとしている方にも資金が必要ですし、それ以外にもM&Aで会社を買って大きくしようとする際にも資金がいるという点に目をつけるべきでしょう。
 そのような会社は、成長余力があるわけですから、起業したりM&Aしたりという事を考える訳ですので、このあたりの資金集めの制度というものが、これから待たれるのでは思っていますし、ビジネスチャンスの1つではないかと思います。

本誌は、M&Aを売り手、買い手、アドバイザーが三方良し、となるのが当たり前の世界の実現を目指しています。そのためには当事者が正しい情報を得て、安心して相談のできる場が必要です。その実現に向けて本誌は、日本M&Aアドバイザー協会で、以下のサービスやセミナーを提供しております。
                                                                                                                                                                                                  
M&A仲介・アドバイザーを事業としたい方・既にされている方へ
セミナー・サービス名詳細金額時間
誰にでもわかるM&A入門セミナー会場開催の詳細とお申込み

オンライン講座の視聴
無料2時間
M&A実務スキル養成講座会場開催の詳細とお申込み

オンライン開催の詳細とお申込み
M&A実務スキルの詳細
198,000円2日間
JMAA認定M&Aアドイザー資格取得およびJMAA会員に入会資格詳細とお申し込み入会金33,000円
月会費11,000円(1年分一括払)
-
案件サポート制度JMAA会員が初めてM&Aアドバイザリー業務に取り組む場合、あるいはすでに何度かアドバイザリー業務に経験があっても、難易度が高い案件の場合のための、JMAA協会が会員に伴走して案件成約に向けて協力する制度です。 お申し込みは当協会ご入会後にお知らせします。JMAA正会員の関与する対象案件の成功報酬の50%-
買収を検討されている企業団体様へ
セミナー・サービス名詳細金額時間
誰にでもわかるM&A入門セミナー会場開催の詳細とお申込み

オンライン講座の視聴
無料2時間
M&A実務スキル養成講座会場開催の詳細とお申込み
オンライン開催の詳細とお申込み

M&A実務スキルの詳細
198,000円2日間
M&A買収プロセスの実践支援セミナーM&A買収プロセスの実践支援セミナーの詳細 33,000円
追加相談サービス 33,000円/1時間
3時間
買い手様向けセカンドオピニオンサービスM&Aセカンドオピニオンサービスの詳細 33,000円
追加相談サービス 33,000円/1時間
1時間〜
売却を検討されている企業団体様へ
セミナー・サービス名詳細金額時間
誰にでもわかるM&A入門セミナー会場開催の詳細とお申込み

オンライン講座の視聴
無料2時間
M&A実務スキル養成講座会場開催の詳細とお申込み

オンライン開催の詳細とお申込み

M&A実務スキルの詳細
198,000円2日間
M&A売却プロセスの実践支援セミナーM&A売却プロセスの実践支援セミナーの詳細 33,000円
追加相談サービス 33,000円/1時間
3時間
M&A売り手様向け、FA契約締結前特別セミナーM&A売り手様向け特別セミナーの詳細 33,000円
追加相談サービス 33,000円/1時間
3時間
売り手様向けセカンドオピニオンサービスM&Aセカンドオピニオンサービスの詳細 33,000円1時間〜

M&A実務を体系的に学びたい方は、M&A実務スキル養成講座


メルマガ登録はこちら

大原達朗の経営リテラシー-自ら考え、行動しよう-