幼稚園教員・保育士の「生活が成り立たない」現実というニュースです。多くは月収20万円未満の超薄給ということです。この前提はなぜ起こるのでしょうか。

そもそも幼稚園経営がもうかっているのかという点がポイントです。多くの幼稚園が仮に儲かっているのに、そこで働く教員、保育士にお金が回らない、ということは悪徳経営者であれば考えられることです。一部にはそういうところもあるかもしれませんが、それほど多くはないはずです。

急増する共働きのかたのために、未就学児の受け入れは急務です。しかし、彼らがどれだけのコスト負担ができるのか、フルタイムでない状態で、家庭との両立を図る、非常に大変なことです。時短勤務になれば、その分所得は減るはずです。そのなかから生活費、そして保育費を出すのであれば、それほど多額の金額を出せないことが多いでしょう。

保育園、幼稚園にとっては収入が増やせない要因です。結果として、職員に対する給与を十分に出せない。給与が高い前提には、そのビジネスが稼いでいることが前提です。稼げないビジネスで給料をあげようとすれば、経営者ないし株主がボランティアでやる、か、公的支援に頼るしかありません。後者が現実的でしょうが、国は借金まみれ、有権者の多くは高齢者、政治家は票をとらないと仕事を続けられませんから、若年層への保護が後回しになりがちです。

ネットで不満をつらねていても何も変わりません。私達の大先輩たちが勝ち取ってきた選挙権、これも一朝一夕に結果がでるかわかりませんが、きちんと行使する必要があります。選挙権を一般市民が得るためにどれだけの努力があったのか、ご存知ない方はそれを調べることも大切だと思います。

日本は物価が安いと言われています。それが、給与水準の低さにもつながっているはずなのです。日本人は追い込まれると強い。それは歴史が証明しています。今は追い込まれていることに気づいていない方が大半です。たしかにあぶく銭を得ている人も多少はいるでしょう。しかし、それは氷山の一角です。社会全体の構造がガタガタになってきていることを認識する必要がありますし、そのうえで自分自身ができることを見つけて改善していかないことには何も始まりません。

少ないながらも、幼稚園業界で給与水準も高く安定経営をしているところもあるはずです。そこを探し研究し取り入れられることは取り入れる、そんな基本動作を愚直にやってみることも必要なのだと思います。

約半数が月収20万未満の超薄給……幼稚園教員・保育士の「生活が成り立たない」現実 https://t.co/bf9zLpFWgp

— 大原 達朗 Tatsuaki Ohara (@ohhara_cpa) December 11, 2019

本誌は、M&Aを売り手、買い手、アドバイザーが三方良し、となるのが当たり前の世界の実現を目指しています。そのためには当事者が正しい情報を得て、安心して相談のできる場が必要です。その実現に向けて本誌は、日本M&Aアドバイザー協会で、以下のサービスやセミナーを提供しております。