ジョンソンアンドジョンソンが、ドクターシーラボをTOBで買収すると報道されています。

ジョンソンアンドジョンソンは国内での比較的高価格帯の化粧品がなく、これをほしいということ、ドクターシーラボは海外進出を進めていたが、いまひとつ結果が出ていないところをジョンソンアンドジョンソンの商流を使うことによって、それを補えるはずということです。

TOBということは、当然今の時価総額にプレミアムを乗せて買収する必要があり、簡単に言うと、買収時点で「高づかみ」をすることになります。それを大幅に上回るメリットがないと買収の価値がないのですが、今回はプレミアムを十分回収できる可能性があります。

一番大きいのは、ドクターシーラボの商品をジョンソンアンドジョンソングループの商流に乗せて海外販売ができることでしょう。これは純粋に業績の上振れ要因になります。

続いてマーケティングでしょう。ドクターシーラボは単体でもマーケティングに力をいれていますが、ジョンソンアンドジョンソンは規模の経済もあります。これは相当な効果があるはずです。現場では絵に描いた餅ではなく、上記をベースにした統合効果を積み上げてしっかり算定しているはずです。

シナジーというのは簡単ですが、実際には具体的にイメージできずに雰囲気で判断されていることも少なくありません。経営トップがイメージし、現場で積み上げで試算をする。おそらくはそういったあるべき買収プロセスの中でガッツリ統合効果を見込めている案件なのでしょう。しかも本件はすでに20％の株をジョンソンアンドジョンソンが持ち、業務提携も進んでいます。実際のビジネスの中身も見ており、統合効果が見込めるとみて間違い、と判断したのでしょう。

プロセスとして見本とすべきM&Aだと思います。

J&J、化粧品にTOB：日本経済新聞 https://t.co/vmK3kqH0Gw

— 大原 達朗 Tatsuaki Ohara (@ohhara_cpa) 2018年10月23日

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