決算書(PL、BS、CF)の読み方

2.BS(貸借対照表)について

 基本的に流動と固定の差というのは、流動は1年以内です。流動資産は1年以内にお金に替わる資産だと思ってください。具体例で言うと、現金とか預金とか、売掛金、たな卸し資産。現金、預金は、そもそも今手元のキャッシュなので、1年以内もへったくれもないのですけれども、売掛金とか在庫というのは、通常1年以内に売って回収する、あるいは在庫を売ることによってお金になることが想定されています。こういったものを流動資産といいます。

 固定資産は、逆に1年以上かかって資金回収、お金に換金されるものだと思ってください。例えば、土地とか建物。土地とか建物がお金に替わるとイメージしにくいと思うんですけれども、土地とか建物も、買って何がしかの形でビジネスに使って、お金を回収しなければいけないです。投資した以上にお金を回収しないともうからないわけですから、何がしかの形でお金になって回収しているはずなのです。売り上げとして、投資した土地とか建物の代金もカバーしようとやっているはずなのです。総額を回収するためには、やはり、普通1年、2年では回収できないので、1年以上換金するまでに通常は時間がかかるだろうということで、固定資産といいます。

 固定資産は、幾つかの種類に分かれていて、一つは、有形固定資産。目に見えるものです。先ほど言ったように土地とか建物とか、車、備品、例えば、パソコンとか、サーバーとか、そういったものを有形固定資産といいます。

 固定資産。同じ固定資産なのですけれども、目に見えないもの。無形固定資産といいます。例えば、ソフトウエア。ソフトウエアというのは、一定規模のビジネスであれば必ず必要ですし、場合によっては大幅なコストをかけなければいけないですね。そのソフトウエアに対する投資を回収するには、通常1年以上かかるので、固定資産は固定資産なのですけれども目に見えないので、有形固定資産に対して無形固定資産といいます。それにプラスのれんがあるんです。のれんもいつか回収しなければいけないわけです。という意味で固定資産なのですけれども、目に見えないという意味で無形固定資産と分類します。

 それと、有形、無形にかかわらず、これも長期投資なので、固定資産といえば固定資産なのですけれども、投資その他の資産と分類を日本の会計ではしていて、投資にかかる資産なのです。例えば、関係会社に投資をしていましたとか、関係会社ではなく取引先の株を持っていますとか、先ほど説明した、保険の積立金とか、保証金、差し入れ保証金とか、敷金補償金とか、こういったものが投資その他の資産というところに分類されてくるということです。

 負債のほうは、もう少しシンプルです。流動負債、固定負債。これは、1年以内に支払わなければいけないものが流動負債。支払い負担するまでに1年以上かかるものが固定負債だと思っていただければいいのかなと思います。

 純資産は先ほどご説明したとおりです。
 こんな形で、資産と負債、純資産に加えて少しだけブレークダウンした内容を押さえていただけると分析はしやすくなってくるかなと思います。
 例えばなのですけれども、その区分に従って、皆さんが分析をしなければいけない、読み解いていかなければいけない会社のBSと比較対象できるBSというのを見ていただきたいです。

 比較対象するべきは、同業がいいと思います。
 いくら、すごく素晴らしい会社同士の比較をしたとしても、例えば、トヨタとソニーのBSを比較してもやっていることが全然違うので、どっちがいいか悪いかという評価がなかなかできないのです。トヨタであれば、GMとか日産、ホンダとか、同業と比較することによって、トヨタのどの部分が素晴らしくて、実は多少弱点もあるのかなというところに突っ込んでいけるわけなので、ぜひ同業にしていただきたいのです。

 例えば、皆さんの会社を分析しようと思ったときに、比較する先がどこなのか。IT系であればGoogleにしてもいいし、Yahoo!にしてもいいし、どこにしてもいいんですけれども、ものすごく大きくなると思うのですね。皆さんの会社のBSは目に見えないぐらいで、GoogleのBSというのは、画面に収まり切れないぐらいの大きさになってしまうと。それは、それでもいいと思っているんです。イメージで見て、うちの会社の何倍のBSをGoogleは持っているのかとか、Yahoo!は持っているのかとか、Facebookは持っているのかとか。それを、追い越すために、どんなことをしなければいけないのかというのは、ぜひ、考えて見ていただきたいのです。

 数字を入れていっていただくと、イメージというのが出てくるわけです。例えば、右側の会社というのは、明らかに無形固定資産は大きいわけです、明らかに。比率的に言うと。左側の会社は純資産がすごく大きいんです。ぱっと目で見て分かるので、これが、重要です。じゃ、次のステップはどうやっていくのかというと、無形固定資産のこっち側の会社はすごく大きいけど、これは、一体何なのだと。これは、BSの中身を見ていけばいいわけなんです。BSを左上の現金、預金からばっと読み始めると分からないことがたくさんあるので、通常ギブアップしてしまうのです。英文を初めて読むときみたいなものです。1ページでたかだか300ワードか400ワードくらいの英文を、中学生のときに初めて読もうと思ったときに、辞書を引き引き読んでいても、ほとんど何も分からないではないですか。分からない単語がきて、辞書を開いても、結局通して何を言っているのかよく分からないということがあったと思うので、いきなり、それはしないですね。全体をばっと見て、大体どんなことを言っているのかというのを、できれば、こう言った感じで、目に見えるような形で表現をしていっていただけるといいのかなと思います。

 金額が、あまりにも違い過ぎる企業同士を絶対額だけで見ていても分かりづらいのですね。なので、比率を入れてみると、より分かりやすいと思います。ここで入れている比率というのは、資産合計、負債合計に対して何パーセント流動資産があるのですかとか、有形固定資産もあるのですかという比較をしています。

 このことによって、この右と左の会社、大きさは全然違うのですけれども、特徴はすごく見やすくなってくると思います。明らかに左の会社というのは有形固定資産の比率が大きいですし、無形固定資産の比率は右側の会社のほうが大きいと。そういう、どこにどんな特徴があるのかなというところを比率分析することができます。

 これであれば、皆さんの会社とGoogleの分析だってできるはずなのです。その比率はなぜ出てきているのか。次は、その比率を埋めていくために、将来的には、追い越すためにどんなことを考えていかなければいけないのかという考え方につながっていくのではないかと思っているのです。ビジュアル化して比較対象設定をして比率分析をしてみるということです。

 次に、できれば年度の比較もしていっていただきたいのです。1年間だけの数字を見ていると、もしかすると、その1年間が特別良かった年かもしれないですし、特別業績が悪かった年の可能性もあるんです。今、右肩下がりで、絶不調の状況になっているのか、右肩上がりで、これからバンバン先伸びそうなのかという判断できなくなってしまうので、年度の比較も、ぜひしていっていただきたいと思います。前の年から、どんな変化があったのか。これは、先ほどのような絵にして大きさがきちんとある程度イメージできるようにスケールをとっていただいて、比率を入れていただくと、このスライドの表からもかなり、いろいろな違いが見えてくるはずです。まず1番、この会計で決算書を読んでいくときに、大切なことというのは、全体を捉えるということと、特長、違いというのを把握することです。特長違いというのをはっきりしてから、では、その違いが一体どんなことに基づいて、どんな原因で起きているのかというところを、押さえていく。この流れをつくっていくことが大事です。

 BSの分析の方法を今までご説明してきましたけれども、やっていただきたいのは、今までご説明したように、BSをビジュアル化、目に見える形にしていただきたいなと思うのです。

 気になるところを、ピックアップしてほしいのです。そのためには、同業をぜひ、比較対照していっていただきたい。規模の大小があるので、それを、いったん比率で表現をしていっていただきたい。あと、期間比較の問題です。最低2年。できれば3年間ぐらいの期間比較は、同業と皆さんが分析したい会社の両方で用意をしていただきたい。できれば、もっともっと長く比較分析をしていっていただいたほうがいいです。

 ここまで準備をしてから、初めてBS貸借対照表の内訳を見て、無形固定資産、こっちの会社が多くて、こっちの会社がほとんどないことは一体何なんだと。調べて見ると、のれんがすごく多いとか、ソフトウエアがすごく多いとか、こういったところまではBSを分析すれば気付くはずなのです。

 では、次は、例えば、のれんが多額に出てますねと。こののれんは、一体なんで起きたのですかというところを調べていくということです。上場会社であれば、一定規模以上ののれんについては必ずリリースがされているはずです。IRリリースが。この会社を買収して一体どのくらいののれんが出ているのか。そののれんが出た原因というのは、一体何のか。純資産幾らの会社を幾らで買ったということが分かれば、そののれんの発生原因というのが出てきます。

 ですから、会社から、まずは数字を並べてビジュアル化すると。そのことによって違いとか変化に気付くと。その次にようやくディテールというか、細かい部分に入っていただいて、一体何が原因で、それが起きているのかというところをつかんでいくということによって、BSというのは非常に見やすくなってきます。

 繰り返しになりますけど、初めから細かいところを突っ込んでいくと、もうBSの左側で大体は断念してしまいますので、心が折れますので、まず全体を捉えるというところ。変化と違いに気付くと。それから細かいところに下りていくというやり方を忘れないようにして言っていただきたいと思います。

 6番目に、要は、なんのかと。自分の言葉で無形固定資産のこっちの会社が多いと。それはのれんだと。そののれんというのは、一体どういうことが原因で起きたのか。できれば、その、のれんというのは、自分なりの評価としていいのか、十分なのかと。あるいは高過ぎるのか、安過ぎるのかというような判断もできてくるといいのかなと思います。BSは以上です。

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