15年間で80億円に上った売上の架空計上は、循環取引で作り上げられていた。循環取引は実在しない売上取引をごまかすために、嘘の上塗りをして、対価の支払いだけをしてしまう方法で、必ずいつか破綻するが、そのいつかが実際に破綻するまで分からない麻薬のようなものだ。詳しくは以下リンク先の図が詳しいので、参照していただきたい。

こういった架空取引がないことを確認するために、監査法人では取引先に直接書面を送り、債権債務が実在するかなどを取引先に確認し、証拠として監査調書に残しておく。

今回のケースは、取引先にこの書類を間違って発送したとし、自分で回収、架空の回答をして、監査法人に返送していたという。完璧に粉飾決算をごまかそうとする態度であり、監査法人にとってはかなり見破るのは困難になる。

また15年間で80億円ということは、年間5億円強。椿本興業の前期の売上は840億円。このうち５億円程度で、上記のようなごまかし工作をされてしまうと、監査では発見しづらい。こういった不正は内部監査で発見しなければならない。

粉飾決算が起きる、続く原因としては、まず業績達成のためのプレッシャーがキツすぎる、またその気になればしばらく粉飾決算がバレない、と従業員が思うほど内部のチェックが甘いことが一番大きい。そして、それが続く原因は関係者の処分が甘いことだ。従業員がどうせバレないだろう、バレても何とかなるだろう、と会社のことを甘くみていることが根底にあるといってよいだろう。これはJSOXをやっていればすむ、というレベルの話ではない。
 

大原 達朗 Tatsuaki Ohara@ohhara_cpa

「マジック」架空取引１５年　敏腕商社マン、転落の軌跡 – 朝日新聞デジタル http://t.co/moBLVQgEk9

2014/11/02 17:31:05

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