イギリスでは監査人は10年ごとに見直すべき、EUは6年ごとの交代も。
イギリスでは350のトップ企業は少なくとも10年に1回、監査人が十分な品質の監査を実施しているかどうかをチェックすることとし、変更を強制するものでないが、変更しない場合にはなぜしないのかの理由を説明しなければならないとした。
また、EUでは監査事務所の競争を促すために6年ごとに監査人を交代させる法案を提示することを検討している。
以前から話題にはなっていたこのニュースだが、とうとう決定された。
強制をされない点も正しい。また、その理由を投資家向けにしっかり説明責任があるというのはこれまた正しい。イギリスもEUも適正な競争を促そうとしている点で、これまた、会計監査という一種異常な環境を通常のビジネス界と同様の環境に方向づけているという点で私は大賛成である。
そもそも、監査法人は百貨店化していると私は思っている。要するに、何でもあるようで、欲しいものは何もない、そんな場所になっているのだ。これを破壊したのは、ユニクロやしまむらやニトリのような専門店で、監査法人にもそういった専門店が増えていっていい。そして、多くの企業が専門店を選ぶようになっていくのが通常だ。
では、なぜそうならないのかというと、それは会社の仕組みにあると考えている。もちろん監査法人を決めるのは、株主総会だが、そもそも総会に監査人選任の議案を上程するのは取締役会。取締役会では財務や経理担当取締役以外の役員に通常、監査法人の良し悪しを判断する情報がないため、せいぜい相見積もりを2-3とって、安いからこのままでいこう、という程度の意思決定しかできない。また、経理担当役員は監査人が変更になると、内部工数が増え、自分たちの部署の仕事が増えてしまう。また、大手以外の監査人を推薦しておいて、何か問題があると自分たちの責任を問われるために、結果として当たり障りの無い、本当は自分たちが欲しいわけではないモノを売っている百貨店にいくかのごとく、大手を選択することになる。
今回のイギリスの決定はこれをかえる大きな契機になるうる取り組みである点を、高く評価したい。そして、日本にも専門店のような特色をもった監査法人が増え、より投資家から信頼されるそんな監査業界を確立していきたい。
なお、誤解を生じるといけないので、原文を全部引用しておく。
出処はロイターのサイト:
http://in.reuters.com/article/2012/09/27/britain-accounting-idINL5E8KR92A20120927
*****以下、引用*****
UK watchdog says firms should review accountants every 10 years
(Reuters) – Britain’s top 350 companies should review who checks their books at least every 10 years to ensure the accountants are of high enough quality, the Financial Reporting Council said on Friday.
The UK audit policeman stopped short of saying it would force companies to put their accounts out to tender after that time, but said those who did not would have to explain why not.
Britain’s blue chip companies keep the same auditor for an average of 48 years, found a report in March 2011 by the House of Lords, Britain’s upper parliamentary chamber.
Policymakers fear such long mandates can make auditors less scrupulous in examining their clients’ business. The new requirements are aimed at tightening procedures found during the financial crisis to have failed: some auditors gave a clean bill of health to banks that then had to be rescued by taxpayers.
“The FRC will be holding discussions with companies, auditors and investors to consider whether guidance on tendering would be useful,” the regulator said in a statement.
The decision, effective next month, comes during a UK Competition Commission probe of Britain’s audit market which, as in most major economies, is dominated by the world’s “Big Four” accounting firms: KPMG, Ernst & Young, PricewaterhouseCoopers and Deloitte.
The European Union also wants to inject more competition into the audit market and has proposed a draft law to force companies to switch auditors every six years.
Smaller auditors like Grant Thornton, Mazars and BDO say such intervention would open up choice for customers.
The Financial Reporting Council also announced other changes to its corporate governance code, such as requiring a company’s audit committee to tell shareholders how they have assessed the effectiveness of the external audit process.
Company boards will also have to confirm that the annual report and accounts taken as a whole are “fair, balanced and understandable… and accurately reflect the company’s performance”.
“The changes to the UK Corporate Governance Code are designed to give investors greater insight into what company boards and audit committees are doing to promote their interests,” FRC Chairman Baroness Hogg said.
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