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税理士・経営者が知っておくべき管理会計の本質(2018年10月1日改訂版)

「経営者が知っておくべき管理会計の本質」というテーマで、2014年に作成したものです。

その後、時間も経過し、当時は想定していないほど、スモールサイド、本誌でいう「マイクロM&A」も増えてきました。
その中で、よく問題となるのが、管理会計です。

それほど難しく考えることはなく、月次で、事業・店舗ごとの業績をしっかりと把握できていれば十分なのです。
しかし、それができない経営者だけではなく、税理士の先生も多いのが実情です。厳しい言い方をすれば、税理士、会計事務所が足かせとなり、売れるものも売れなくなってしまっている例も多発しています。

ぜひ税理士、会計事務所の職員の方がたにも管理会計の基本を抑えていただいて、より多くの方がM&Aによる事業、会社売却を実現していただくことを願ってやみません。

その意味で、本記事を「税理士・経営者が知っておくべき管理会計の本質」とタイトル改めて情報提供をさせていただきます。

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経営者が知っておくべき管理会計の本質についての講義ビデオになります。

こんにちは。今回は経営者が知っておくべき管理会計の本質ということでお話をさせていただきます。

管理会計は業績向上のためにあります。制度会計と違い、管理会計の実施は法律で決まっていません。制度会計では税務会計であったり、会計監査を受けなければならなかったり、法律で定められています。

管理会計は、法律で決まっているものではなく、業績向上のために実施されることをあらためておさえておいていただきたいと思います。中には、管理会計をすることが目的化してしまい、ものすごいコストをかけて管理会計をやっているが、その結果何をしたいのか分からないという会社もありますので、注意してください。

管理会計のプロセスは、問題解決のプロセスと同様です。問題の発見、仮説の構築、仮説の検証、問題解決案の立案、解決策の実行、見直し、という流れが問題解決の流れですし、管理会計の流れになります。

具体的に、売上が減少している会社を例にとって説明します。

1)売上が伸び悩んでいる事実をデータで確認してください。オーナー経営者の肌感覚だけでは不十分です。全社のPLでまずはOKです。ただし、それだけでは詳細が分かりません。

2)そこで、事業部別、商品別などのPLでどこに売上減少の要因を探します。

3)さらにブレークダウンし、どの得意先、担当者で売上が減少しているのかをデータで押さえてください。

4)どこで売上が減少しているのかおさえたのち、売上数量が落ちたのか、単価が落ちたのか。ここを感覚でやってはいけません。きちんとデータを確認します。そして、その下落は社内で決めたルールに則っているのか、そうでないのかを確認してください。社内で大幅な値引については承認を必要とするというルールがあれば、それを守っているかどうかを確認します。多くの場合、ルールは守られていることが多いです。その場合、例えば過去は営業部長の承認で売上値引をするのが社内ルールであったが、その1つ1つを社長がチェックしなければならないというケースもあります。既存のルール自体を変える必要があるかどうかを検討する必要があるわけです。

5)このくらいの作業をして、データを提供し、担当部署から改善提案を出させたうえで、経営会議や取締役会で改善策について議論をするという流れを検討してください。過去の成功体験、肌感覚だけでは通用しなくなっている今だからこそ、こういった流れをとる必要があると思います。

その管理会計を効果的に進めるために何をするかというと、第一に月次決算の早期化です。先月の問題を今月解決するためには、月次決算を早期化する必要があります。
そして、これをベースに何が問題なのかを迅速にレポートできる体制作りが重要になってきます。

次に、月次決算をスピードアップするための視点について説明します。売上、仕入、売掛金、買掛金、経費がいつまでたっても締まらないという企業では、締め日を決めてしまうのが、解決策です。
たとえば翌月3日以降に提出された売上伝票をあげても前月の業績にしなければよいのです。買掛金についても翌月3日以降に請求書が届かなければ、支払いを遅らせればよいのです。社内の経費についても同様です。
管理会計とは会社の業績を向上するために実施するものです。その目的のためには手段を選べません。そして、そんなことを决めることができるのは、経営者であるあなたしかいないのです。

固定資産の計上については月内に処理を済ませてしましょう。減価償却は年初に今年度の新規購入予定額を考慮し、年度の計上額を決めておきましょう。その12分の1を毎月、計上すればOKです。
前払費用等の経過勘定項目については、よほどのイレギュラーなものがない限り、月次決算では現金主義でもよいと思います。真面目にやりすぎるとハマってしまいます。

これらのことだけでも十分に月次決算は早期化できるはずです。

月次決算が早くなったあとにどんな分析をするべきか、ということですが、この資料では対前年同期比較をしています。拠点別に売上、原価、粗利、販管費、営業利益、営業利益率がどのように変化がしているかを分析しています。こういった変化に皆さんが気付くことです。気づいたあとになぜ、変化がおきたのか、と追っていけばよいのです。

ここでは前年同期比較をしていますが、本来は予算実績比較のほうがベターです。しかし、前提があって、予算をきちんと作成していることです。多くの企業の場合、予算は鉛筆ナメナメで作っていることが多いのです。社長が来年は売上5%アップだ、というと根拠のない新規受注を持ってしまうのです。この予算ではそもそも根拠のない目標値なので、実績と比較しても意味がありません。

そして、もう1つ重要なことですが、全社費用、例えば社長の給料、法務、人事部門のコストなどがそうですが、拠点別、事業別に明確な基準で配賦できないものは無理に配賦するべきではありません。事業所で利益がでているにもかかわらず、根拠不明の全社費用を配賦されると赤字に転落してしまうような場合に、拠点別の業績が把握できないからです。 

予算の設定の仕方ですが、新規受注について例をあげています。3百万円の売上をつくるのに、前提を置くわけです。アプローチ対象会社が10社。ここに1社づつ5回アプローチすれば、10%の確率で受注がとれるはずだ、例えばこういう前提をおきます。そして、実績が出た暁には、どのアクションをどのように実践して結果がどうなったかを分析すべきなのです。結果受注は2百万円でした。予算未達なのは、10社にアプローチできなかったのか、5回訪問できなかったのか、10%の確率が達成できなかったのか。この分析をすることによって、売上未達の理由が明確になります。この前提をおいていない企業での予算実績分析は無意味です。もともと根拠のない売上予算が未達なのは当たり前です。しかし、経営会議や取締役会でそんなことを言えるはずもなく、営業担当者は言い訳のための分析をせざるを得ません。社長は気づいていないかもしれませんが、こんなことが起きている会社はたくさんあるのです。

月次決算データとして提出、共有すべき資料ということですが、シンプルなものでOKです。理由は変化、違いの兆しに気付くことが月次決算の目的だからです。全社のPL、BS、予算対比、過去から推移があればOKです。全社だけでなく、事業部別、得意先別などのPLも必要です。そして資金繰表、資金繰りに余裕がある企業であれば月次で十分ですが、資金的に厳しい企業の場合には、日次の資金繰表を準備しておくことが重要です。

管理会計は業績向上のためにあります。その原理原則にたちかえって、皆さんの会社の管理会計が適切に運用されているかどうか確かめてみてください。

*管理会計については以下にて詳細に説明をしております。より突っ込んだ内容については以下をご参照ください。
http://ma-japan.info/archives/695

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