では、なぜ上場するのでしょうか。それでも上場したい理由が分かりますか。一つは上場会社には信用力があるからです。上場会社であれば取引する上で安心です。新聞を開けば証券欄に載っています。それで取りあえず安心だと思ってもらえます。それでも最近はそうでもないようです。もう一つは、資金調達ができるチャンスが広がるからです。例えば、このようなビジネスを展開したいと思っているのでお金を出してください、株を買ってください、と株主に言うことができます。

このチャンスを常に持っていることになります。新しい投資をしたい、新しいビジネスをしたいという場合、それを世に「5億円必要だ」と問うて、株主が納得してくれれば、それに対してお金を出してくれます。これが上場している意味のはずです。しかし、実際にはそのようなことはほとんどありません。実際には新規上場したときだけ、株主が株を買ってくれて多少のお金が入ってきます。その後に追加で増資ができる会社は数で言えばほとんどありません。大規模にやっているところは、最近では、東銀、みずほ、三井住友などのメガバンクぐらいだと思います。BBTもやっていません。BBTはお金が余っていますので、今のところ資金調達する必要はありませんが、増資はしていません。チャンスがありません。

そのような状況にもかかわらず、規制はますます強まっています。余計にお金が掛かるような規制がさらに強まっています。そのために恐らく上場企業は増えないと思います。まだネタはありますが、きょうはM&Aなので、この話はこの辺で終わりにしますが、そのような状況です。規制が強まっていると一生懸命時間とお金を掛けて上場を維持しているにもかかわらず、お金が入ってくるチャンスが少ないのです。誰がやってやるかという感じになってしまっています。これはアメリカも趨勢(スウセイ)は同様です。規制がますます強まり、上場維持コストが掛かってしまい、上場するのがばかばかしい状態になっています。がんじがらめなのです。何か新しいことを始めると、うちはこういうことを始めましたという開示をしなければなりません。新しいことを始めることがとても難しいということです。

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