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年金75歳から受給可能へ。どうやってこの制度を見直すのか。

以下には5年前に書いた記事を再掲しています。株価があがっていることもあり、現状はわかりません。しかし、こうした記事をマスコミがとりあげるのであれば、いまいくら不足していて、それをどう解消するのか、という基本的な情報がなければ議論になりません。 75歳へなるまで稼いで、年金がいらない人に支給しない制度、あってよいでしょう。しかしそんなかたはどれほどいるのでしょうか。

事実から目をそむけてはいけません。政治家はなぜこれを解消しないのか。理由は明確です。将来のことを考えて、今年金改革をしたら、有権者の多数をしめる高齢者を敵に回すことになります。それでは政治家は当選できないのです。

JALが破綻したとき、年金債務が多額にありました。OBからすれば当然の権利でした。しかし、JALにはもう原資がありませんでした。しかし、多くの権利者は自分の権利を主張しました。それだけが原因ではありませんが、JALは破綻しました。つぶれてはじめてOBも気づいた。自分たちは頑張ったかもしれないが、権利だけを主張しても、お金がいつまでも湧き出てくるわけではない。そうなってはじめて年金債務のカットが実現できました。

一企業と一国家のサイズは違いますが、やっていることは同じだと思います。生活できなくなってしまっては意味がありませんが、国民が本当のことを知り、将来どうしていくべきかを考え、議論しないといけない。公務員が安定している、なんてのは今の国家財政を考えれば完全な間違いなのです。それが常識になっていない。5年間経っても大きくは変わっていません。

だからどうしようもないと言っていても仕方がありません。1人でできることは限られています。でも、1人1人の力の積み重ねでしか、大きな力は出ないのです。だから、本誌は自分が気づいたことは共有し、少しでも多くのかたが自分でできることを見つけ、我が国日本を少しでもよい国にするために実行できるための情報提供を自分のできることから続けていきたいのです。

年金制度は維持できないが、崩壊はさせない。というテーマで2014年に書いた記事です。 ** 年金水準は、開始直後だけ50%で加齢とともに下がっていく、と報道されている。要するに現役のときにうけとっていた給与のどれだけを受け取れるのか、ということだ。

年金にかかる積立不足額については、この記事がまとまっているが、国民年金と厚生年金あわせて1,000兆円以上ある。すでに自転車操業でいつ破綻するか分からない状況である。

したがって納付率も下がっているわけだが、破綻をさせてしまったときの騒動が大きすぎて、誰も破綻はさせられない。根本的な対策を打てていないのが現状だ。

破綻する、崩壊すると言ってしまっては、それを言っちゃおしまいよ、ということで誰も発言できないわけだ。したがって、崩壊はしないよ、給付は下げるけどね、という話を続けているわけだ。

年金については、安倍総理は以前総理をされていたときに発行された「美しい国へ」という本に年金について、衝撃的な記載があったのをまだ覚えている。

美しい国へ (文春新書)
安倍 晋三
文藝春秋
2006-07




同著のP.184とP.186に次の記載がある。

「年金は必ずもらえるし、破綻しないように組み立てられている。もし破綻することがあるとすれば、それは保険料収入がないのに、年金給付をつづけていったときだ。いいかえると、いまのままの保険料収入と給付水準をつづけていれば、これからはもらう人が増えるのだから、将来はどこかで払えなくなってしまう。破綻する、ということはこのことだ。だからそうならないように、保険料をどのくらい上げて、給付水準をどのくらい下げたらよいのか、という議論をしているのである。」

「年金というのはざっくりいってしまうと、集めたいお金を貯めて配るというシステムだ。だから、加入しているみんなが「破綻させない」という意思さえ持てば、年金は破綻しないのだ。日本人の過半数が「もう年金はやめよう」といわないかぎり、このシステムは継続するのである。」

さすが、安倍総理である。まず破綻させるとは絶対に言ってはいけないのである。その時点で、誰も保険料を払わなくなるからだ。そして国民みんなが頑張れば破綻しないといっている。これも正しい。しかし、それは自分が支払った保険料相当分すら将来年金としてもらえないことも含む。1,000兆円以上の積立不足については触れられていない。極端にいえば、給付額を1円にすれば年金は破綻しないといっているわけだ。国民に不安を与えないという意味では、素晴らしいが、実態を知らないというほど恐ろしいことはない。安倍総理を含めて、政治家に問題があるというと、そうでもない。なぜならば年金制度は崩壊します、その被害を最小限にするために皆さんの給付を大幅に下げます。あるいは年金については民間に任せます、などといったドラスティックな政策を持っている議員がいたら、皆さんは投票できるだろうか?政治家は当選しなければ、政治活動ができないのである。選挙にいかない国民が事実を知り、考えれば、政治家は当選のために発言や行動を変えるはずだ。

スイスでは先日、最低賃金を2,500円にしようとする法案を国民投票で否決した。
こういう判断をできる国民がでてくれば何かは変わるだろう。そのために教育を変える必要はあるが、例えば年金について、あるいは国の財政については、調べれば分かることはたくさんある。まずは自分で調べてみよう、考えてみよう。

皆さんは、自分の国、会社、家族に対して本当に正しいことをできていますか、知ろうとして努力していますか。

 

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