表明保証保険を含む保険と中小企業M&Aが伴走していけるのか。

昨年から中小企業M&A向けの表明保証保険販売のリリースが連続しました。
直感的に、保険としては成り立たないだろう、と私は感じていました。
表明保証保険のイメージは、
1)売り手の行った表明保証に瑕疵があった場合に
2)買い手がその補填を受けることができる
ということです。
そもそも表明保証違反があった場合、売り手は悪意、または過失があることが明らかですから保険金は支払われるはずがありません。したがって、売り手にとっては意味がありません。
それでは買い手にとってはどうでしょうか。表明保証違反があれば買い手は売り手へ損害賠償請求ができます。しかし、中小零細企業では、損害賠償請求を負担できないことも多いので、買い手にとっては当然意味があります。
ここで保険会社のビジネスとして考えてみます。
1)表明保証違反をする=いい加減、悪質な相手との取引
2)表明保証違反を買い手が発見できなかった=十分な調査をしていない
3)売り手が損害賠償能力がない=金がない
という悪条件に対して支払う保険料を決めなければなりません。顧客が負担する保険料も同様です。あまりにも保険会社の負担が多く、これでは成り立ちません。
対応策としては、
1)買い手の負担する保険料を果てしなく値上げする=ユーザーとしては保険をかける意味がない
2)事前に十分な対象会社を調査する=結局、コストがかかる
3)2)を前提に保険でカバーする損害額を限定する
3)であれば成り立つでしょう。
表明保証違反は、これまでもM&Aの現場では利用されてきました。
たとえば、表明保証違反による損害賠償請求ができる期間を売り手と買い手が合意できない。売り手は1年といっているが、買い手は3年間ほしい。どうしても妥結できない場合に、保険会社がその2年間のリスクをとり、商品として販売する、というようなケースが典型例です。

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