ドコモがTOBでNTTの100%子会社化。買収金額4兆円強の根拠と採算がとれるのか?大至急解説しました。(2020年9月30日改定版)
ドコモが34%程度の株式をTOB(Take over bit)、公開買い付けするということです。4兆円以上の取得コストが見込まれるということです。
理由は経営の効率化ということですが、菅総理、総務省からのプレッシャーで携帯電話代金が下がる目算が現実的になってきたのかもしれません。
ここでは、その採算を確認してみます。
2020年9月28日終値ベースで、ドコモの時価総額はおよそ9兆円、その1/3で3兆円です。
TOBで買付をするには、プレミアムといって、金額をあげる必要があります。既存の株主が上場会社の株を持っていて、いつでも売買できるし、将来の値上がりを期待したり、といった株主の権利を奪うわけですから、それに対する対価がプレミアムというわけです。
仮のそのプレミアムが3割だとすると、3兆円×1.3=3.9兆円、アドバイザリー報酬など含め4兆円、というとことでしょう。
ドコモは2021年3月期で、税引前利益8,844億円、親会社に帰属する当期利益を6,050億円と見込んでいます。
https://www.nttdocomo.co.jp/corporate/ir/binary/pdf/library/earnings/earnings_release_fy2020_1q.pdf
NTTからすると、6,050億円は連結に取り込めます。これは2/3相当ですから、全体の利益は9,000億円程度です。そのうちの1/3相当、およそ3,000億円は現在ではその他の株主に帰属する利益となっています。TOB後は、この3,000億円はそのままNTTの最終利益として加算されることになります。
単純に4兆円を3,000億円で割り算すると13年間となりますので、今期水準が続けば、今回の投資金額は13年間程度で、利益の単純計算上、回収できることになります。今後、携帯電話の通話料が下がるという前提ですとかなりのコスト削減もしていくでしょうが、回収は簡単なことではなさそうです。TOB後はかなりシビアなリストラがあっても不思議ではなさそうな数値です。
NTTコムとの統合の可能性も報道されました。民営化される際に分割されたはずで、そう簡単に統合できるかわかりませんが、大幅なリストラは考えているとみて間違いありません。海外展開も考えているようですが、これは、体質を変える必要があるでしょう。もともと国営で、これだけの競争力を維持してきたグループの経営陣の染色体と、リスクだらけでトライしていく海外ビジネスはまるでやりかたが違います。そこまでやらなくても困らない人の集団でやりきることは容易ではありません。
またNTTは連結ベースで1兆円ほどのキャッシュしかありません。総資産が23兆円ほどある企業ですが、今回のTOBにかかる費用は借り入れなどで賄う必要があります。それでも十分、健全な財務の企業であることは間違いありませんが、財務の負担も増えていきます。
今、これをやるということはそれだけの危機感が背景にあったはずです。菅新総理の携帯電話料金引き下げは相当本気なのかもしれないとあらためて感じます。
(一部、加筆・訂正し、動画も追加しました)
NTT、ドコモを完全子会社化 TOB4兆円超:日本経済新聞 https://t.co/ir3FhGC2ra
— 大原 達朗 Tatsuaki Ohara (@ohhara_cpa) September 28, 2020
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