アリババ上場時の時価総額25兆円の背景

アリババ上場時の時価総額25兆円の背景

今回は、「アリババ上場時の時価総額25兆円の背景」について説明します。

2014年10月にアリババはニューヨーク証券取引所に上場しています。この際に約250億ドル(日本円して約2兆7200億円)の資金調達を行っています。
この資金調達をした金額(株価)をベースに時価総額を計算すると、約25兆円となります。当時トヨタの時価総額が22兆円であったので、トヨタを上回るほどの評価がアリババについたということになります。

アリババの主要株主であるソフトバンクは、このアリババの上場に伴って約5,000億円の“持分変動利益”と呼ばれる経常利益を計上しています。
これは、会計が“ソフトバンクが持つアリババ株の価値が上がった”と考えている利益です。実際に上場時のアリババの株価をベースに、ソフトバンクが現在保有しているアリババの価値を計算し直してみると、約8兆円となります。
その8兆円に対してソフトバンクは、以前にアリババにいくら投資したかと言うと、2000年に20億円の投資を行っていました。
つまり、20億円の投資が14年間で8兆円になったということになります。非常に素晴らしい投資の成功例です。大成功と言っても過言ではない投資でした。

そのアリババの業績の背景を説明しますが、アリババは上場したばかりですので、詳細の年間を通した財務情報が公開されていません。
アリババのIR資料を見てみますと、英語ではありますが人民元建で、基本的な財務情報が公開されています。
アリババは「どれぐらいの財務体質の会社なのか?」を2014年の数字を使って説明します。売上とEBITDAを100万人民元で表示しました。売上が525億人民元でEBITDAは約300億人民元です。1人民元19円で換算してみますと、売り上げは約1兆円弱、EBITDAが約5830億円となります。この規模の会社ですから、売上が相当あり、利益も非常に稼いでいるといった会社です。
 
このアリババの業績に対して、上場時の時価総額が25兆円となりました。EBITDA倍率(時価総額÷EBITDA)は42倍となります。EBITDAというのは、気を付けなければいけない指標で、“Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization”の略です。“利息、税金、償却控除前の利益”のことです。
そのうち、税金に関してはキャッシュ・アウトフロー(お金が出ていく)となりますから、このEBITDAから中国における税率である25%を控除します。その金額がおそらくフリーキャッシュ・フローに近い数字になると思います。この数字をベースに考えると、アリババの時価総額はフリー・キャッシュ・フローの“約57年間分(57倍)”となります。
つまり、現状のままでアリババが利益を上げ続けたとすると、時価総額に至るまでに57年間かかるということです。
それだけ、評価をされているということでしょうし、株主のほとんど方が現在のキャッシュ・フロー水準で終わるわけではなく、これから爆発的に増える(成長する)と期待をしていることは間違い無いと思います。

最後にEBITDAについて補足説明をします。
先ほどEBITDAとは“利息、税金、償却控除前の利益”と説明していますが、ここで使用している資料の“アリババのNon-GAAP EBITDA”について説明をします。
この”Non-GAAP”というのは、「会計基準に従っていない」と言う意味です。私が説明した控除項目の加えて、アリババは米国Yahooと技術共有の契約を結んでいるようで、アリババはYahooに定期的にその使用料を支払っているようです。その支払に関しても、今回のNon-GAAP EBITDAでは控除している様ですので、実際の利益ベースやキャッシュ・フローベースからすると、少し高めにそれらが公表されているように思います。
EBITDAというのはよく使用される指標ですが、どこかの国で決められている指標ではなく、証券会社、投資銀行、アナリストなどが作った指標です。そのため、明確なルールが有るわけではないのです。勿論、どういった算定過程で計算しているのかというのは開示されていますが、実際には凄く細かい字などで開示していますので、このような個所を読んで内容をしっかりと把握しておかないといけません。
アリババは非常に業績が良い会社だ、という事に間違いは無いのですが、細かいところを見ていくと、「業績は良いのだか、さらに良く見せるように工夫がされている」という事を理解しておかないと、最終的な投資意思決定する際に誤魔化されてしまという可能性もありえます。
ご自身で投資をされる際やM&Aをされる際には、どのようなベース(基準)でEBITDAを計算していて、例えばEBITDA倍率で会社の価値を算出するのであれば、“どのような前提で計算しているか?”、例えば“5倍なら5倍で良いのか?”という事を理解して頂きたいと思います。

M&A売却希望

M&A買収希望