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ANAとJALの違いから見えた、AI時代の落とし穴

ANAとJALの違いから見えた、AI時代の落とし穴

最近、ANAの国内線制度変更に気づきました。プレミアム会員であっても、最安運賃では事前座席指定ができなくなったのです。利用者としては不満があります。しかし、経営の視点で見れば理解できます。これまでの航空会社は上級会員に対して多くのサービスを提供してきましたが、コロナ後は収益性を重視し、価格とサービスの対応関係を見直しています。言い換えれば、「たくさん乗ってくれる顧客を優遇する」から、「対価を支払った顧客にサービスを提供する」へと重心が移ったのです。

私が興味を持ったのは、この制度変更そのものではありません。自分で予約をしたからこそ、この変化に気づいたという点です。もし秘書が手配していたらどうでしょうか。もしAIエージェントが全自動で航空券を予約していたらどうでしょうか。私はANAの制度変更にも、JALとの価格差にも気づかなかったかもしれません。

AI時代になると、予約や検索、比較といった作業は自動化されていきます。しかし、その過程で私たちは市場との接点を失います。実は、人は雑務の中で多くを学んでいます。飛行機を予約する。ホテルを探す。経費精算をする。顧客に電話する。一見すると非効率な仕事ですが、その過程で価格感覚や顧客感覚、業界構造への理解が身についていました。

AIはその作業を代替できます。しかし、その経験までは代替できません。だからAI時代の教育課題は、知識を教えることではなく、経験をどう設計するかです。放っておけば身についたものが、放っておいても身につかなくなるからです。

ANAとJALの違いは航空会社の話ではありません。AIが便利になるほど、人間は意識的に現場との接点を持たなければなりません。現場経験のない人間と、意図的に経験を積んだ人間。その差は、これからますます大きくなるでしょう。


What the Difference Between ANA and JAL Reveals About the AI Era

I recently noticed a change in ANA’s domestic flight policy. Even premium members can no longer select seats in advance when purchasing the lowest fare category. As a customer, I am not particularly happy about it. As a businessperson, however, I understand the logic. Airlines have shifted from rewarding loyalty to aligning services more closely with what customers pay for. Profitability has become a higher priority than ever before.

What interested me most was not the policy itself. It was the fact that I only noticed the change because I booked the flight myself. If an assistant had handled the reservation, I might never have known. If an AI agent had completed the entire process automatically, I certainly would not have noticed. I would have missed not only ANA’s policy change but also the widening differences in pricing and service between airlines.

This points to a broader issue. As AI automates searching, comparing, and booking, we lose direct contact with the market. People learn far more from routine tasks than they realize. Booking flights, comparing hotels, filing expense reports, and calling customers may seem inefficient, but these activities build intuition about pricing, customer behavior, and industry dynamics.

AI can automate the tasks. It cannot automatically create the experience that comes from performing them. That is why the educational challenge of the AI era is not simply teaching knowledge. It is designing experiences. Skills that previous generations acquired naturally may no longer develop on their own.

The difference between ANA and JAL is not really a story about airlines. It is a reminder that as AI becomes more capable, humans must become more intentional about staying connected to reality. The gap between those who deliberately accumulate experience and those who do not is likely to widen in the years ahead.

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