ゼンショーはすき家をはじめとして、ビッグボーイ、ココス、ジョリーパスタなどを擁し、2012年3月期の第2四半期累計、6ヶ月で売上2,000億円、経常利益81億円、通期見込みが、売上4,100億円、営業利益   184億円、経常利益165億円、当期純利益66億円を出す優良企業である。牛丼事業では古参の吉野家に対して、斬新な戦略を打ち続ける注目の企業である。

◯ゼンショーHD 平成25年３月期  第２四半期決算短信〔日本基準〕（連結） 
http://www.zensho.co.jp/jp/ir/pdf/13.3.2Qall.pdf

直近のゼンショーの業績をみておくと、収益面は上述のとおり、好業績である。しかし、激しい出店攻勢の影響も大きく、平成24年9月末時点で有利子負債の合計は、1,324億円、内、１年内返済期限の到来する流動分が488億円、残り836億円の固定負債となる。

ここで同時期の流動資産が450億円しかない。流動比率が100%を割っており、帳簿上は１年内に換金される資産よりも、１年以内に支払う負債のほうが大きいということになる。仮に新規融資がされなければ資金ショートが１年以内に起きてもおかしくない状況だ。

もちろん、これだけ収益性の高い企業への融資が下りないことはないだろうし、短期での借入のほうが長期で借入するよりも金利負担も低く、経営効率はよいといえる。

しかし、それが許されるのは厳しい価格競争の中でしっかりと稼ぎ続ける、という前提がある。今後、シャープを襲ったように主力商品であるテレビ販売の激しい不振のようなトラブルがゼンショーに起きた場合、場合によっては短期借入の借入が思うようにいかず、現在のシャープのような事態に陥る可能性があることをしっかりと押さえておきたい。

 

本誌は、M&Aを売り手、買い手、アドバイザーが三方良し、となるのが当たり前の世界の実現を目指しています。そのためには当事者が正しい情報を得て、安心して相談のできる場が必要です。その実現に向けて本誌は、日本M&Aアドバイザー協会で、以下のサービスやセミナーを提供しております。