M&A

マルナカが割安でイオンに買収された理由

もう1年前になりますが、イオンがスーパーのマルナカを買収したニュースが気になっていたので、少しまとめてみました。

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◯イオンが四国の大手スーパー「マルナカ」を449億円で買収
***以下、引用***
東証1部上場のスーパー大手「イオン」は、四国・中国地方を中心に211店舗のスーパーマーケットを展開する「マルナカグループ」を総額449億円で買収すると発表しました。
創業家一族から「マルナカ」(高松市)の発行済株式94.96%を364億円で取得するほか、同グループ「山陽マルナカ」(岡山市)の全発行済株式を85億円で取得し、11月25日付で両社を子会社化する予定です。
内需飽和により流通業界の競争が厳しさを増すなか、イオンは手薄だった四国・中国地方の営業基盤を強固にすることで、スケールメリットを活かし競合他社との競争を優位に進めたい考えです。
***引用、ここまで***
ニュースとしてはこんな内容でした。これに関するイオンのIRリリースは以下のとおりです。
◯株式会社マルナカ及び株式会社山陽マルナカの株式取得(子会社化)及び株式会社マルナカホールディングスとの資本提携に関するお知らせ 
少し分かりづらいですが、マルナカホールディングスとマルナカ、山陽マルナカという会社に分かれている会社とオーナーがある程度、株を買い集め、総額449億円で買収したということが読めます。
これに対して、これらの会社の純資産と直近の純利益は以下の感じです。
 
マルナカホールディングス:
詳細不明
マルナカ:
純資産 538億円、当期純利益 29百万円
山陽マルナカ:
純資産 233億円、当期純利益 25億円
マルナカホールディングスの情報はわかりませんが、持株会社ですから、それほど大きな資産や利益がでないとすると、純資産771億円、年間25億円の利益を稼ぐ会社を449億円で買収したということになります。しかも、マルナカは当期純利益こそスカスカですが、経常利益は37億円ほどでています。膿を出し切ったとすれば、20-30億円は毎年稼げるはずで、イオンにとっては良い買い物だったといえるでしょう。
 
では、マルナカはなぜこんな条件で売却したのでしょうか?リリースにもあるように、世代交代の影響が大きいと思います。これだけの会社の相続するとなると相続税は相当かかります。それだけのキャッシュをもっているかどうかは分かりませんが、いずれにしても簡単に払えるものではありません。
 
また、地方スーパーの経営の先行きをしっかり見通せなくなってきたという事実もあったことでしょう。さらにいえば、これだけの規模の会社を買える会社もそう多くありません。したがって、449億円とれれば、あと100億円足りないという議論をしても仕方がない、という部分もあるでしょうし、それほど自分から厳しい条件交渉をできないという事情もあると考えられます。
 
こういったM&Aが大規模なスーパーだけでなく、身近な会社でも普通にできるような世界を目指して、精進していきたいと思います。
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