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情報漏洩は急増、AIの関与はまだ確認されていない

情報漏洩は急増、AIの関与はまだ確認されていない

9月以降、世界で個人情報の漏洩が相次いでいます。日本経済新聞の集計によると、10万人以上の情報が漏洩した事案は35件あり、流出した情報は延べ3億2,000万人分に上ります。日本では20件、延べ5,700万人分でした。

ただし、この数字は企業や政府機関の公表だけでなく、調査会社や犯行声明による発表も含みます。犯行声明については、企業が不正アクセスを認めた事案に限って集計されています。公表時期や報告ルールも国によって異なるため、単純に「9月以降、攻撃が急増した」と断定するには注意が必要です。

問題は、こうした情報漏洩の増加とAIの関係です。

記事では、韓国で金融機関などへのサイバー攻撃が相次いだことを受け、李在明大統領が「AIが利用された可能性がある」と指摘したことが紹介されています。一方で、個々の攻撃でAIが使われたと確認された事実や、AIが情報漏洩の増加を引き起こしたという証拠は示されていません。攻撃を受けた企業の技術者も、攻撃の様子からAIが関与した可能性を述べていますが、これも見立ての域を出ません。

したがって、現時点で言えるのは、情報漏洩が相次いでいることは事実だが、AIがその原因だとは確認されていないということです。「AIの影」という表現は、事実の確定ではなく、今後への懸念を示すものと受け止めるべきでしょう。

攻撃のハードルを下げる可能性

AIがサイバー攻撃に使われれば、標的となるシステムの調査、脆弱性の発見、攻撃コードの作成、外国語で書かれた情報の理解などを補助する可能性があります。高度な専門知識や多くの人手を必要としていた作業が容易になれば、攻撃を試みる人や集団が増えることも考えられます。

これは、今回の漏洩がAIによって起きたという説明ではありません。AIの性能向上によって、将来、攻撃の準備や実行にかかるコストが下がるかもしれないという予測です。

防御側もAIを使って、システムの点検や脆弱性の修正を速めることができます。しかし、AIを導入すれば攻撃を自動で防げるわけではありません。企業は、どのシステムが外部に公開され、どの情報にアクセスでき、脆弱性が見つかったときに誰がどれだけ早く修正するのかを把握しておく必要があります。

確認された事実と、これからの備え

情報漏洩が起きたとき、原因や攻撃手法がすぐに特定できるとは限りません。その段階でAIの関与を断定すれば、事実と推測が混ざり、問題の実態を見誤るおそれがあります。

一方、AI利用の確証が得られるまで対策を待つ必要もありません。AIが攻撃のハードルを下げる可能性を想定し、公開システムの脆弱性を継続的に点検する。認証情報の管理やアクセス権限を見直し、侵入を検知した場合の対応と復旧手順を整える。そうした備えは、攻撃にAIが使われたかどうかにかかわらず必要です。

情報漏洩の規模は明らかになっています。しかし、AIがその急増を引き起こしたかは、まだ確認されていません。事実を正確に捉えたうえで、攻撃のコストを下げる可能性のある技術にどう備えるか。それが企業に問われています。

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